第3話『霜柱の裏側にあるもの』
毎年の一番最初の霜柱の裏側には、決まって羊ともヤギともつかない美しい動物が潜んでいます。
これに気づかないで初霜を踏んでしまうと、この動物を見ることができないので注意しましょう。
この動物にはこれまで、決まった名前が付けられていません。
この動物に決まった名前をつけようとしたり、予め仮の名前を付けている状態で、姿を見ようと霜柱の裏を見ても、決まって動物は発見できません。
この不思議な動物が、霜柱の裏に美しい光をもたらしていると考える人たちが居ます。
動物の毛並みがそうなのか、動物が自ら輝いているのかはわかっていませんが、他に比べられるもののない、鮮やかな弱い光が、動物が去った後も、わずかに残っていることがあります。
動物たちが一体何処から何を目的に霜柱の裏に来るのかについては、様々な考察があります。
錬金術士たちは、その場所に動物たちを引き寄せる特別な何かがあり、特別な手順を踏めば、それらを抽出できると考えていた様です。
錬金術士たちは、ぎりぎりまで動物たちに気づかれない様に、霜柱の形のままその地表を削りとる技術を磨き、様々なものを取り出そうと試みました。
実際に取り出された物質には幾つもの特徴がありましたが、それでも、そこから動物たちの存在について、ひとつでも確かなものが解明されたという記録は残っていません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます