第2話『最初からからっぽの卵』

とても珍しいことですが、最初から空っぽの卵というのが、時々発見されることがあります。

その卵の特徴としては、比べると他の卵よりも少しだけ重い気がするのに、割ると殻だけで中身が何もありません。他は、色も形もまるっきり普通の卵です。

この卵の中にそもそも何が入っているのか、それとも割ってみたまま、本当にずっと空っぽだったのかということが、長く議論されていました。

そもそも、その卵は鶏の卵なのかという疑問を持った人も居ます。何かの卵に混じっている、別の生き物の卵だとしたら、鶏のだけでなく、他のあらゆる卵から生まれる生き物のの卵の中に、からっぽの卵というのが混ざっているのではないか。

大昔の中国では、そんな風に考えた皇帝の命令で、いろいろな鳥の巣で、空っぽの卵が探されたという記録があります。

後漢の時代には、重さを手がかりに見分けた空っぽの卵を大切に温めておいたところ、ある朝それが割れて、窓が開いていたという記録もありますが、そこから何が生まれたのかは、全くわかっていません。

ちょっとぼんやりした日が続く春のお休みの日に、なんとなくホットケーキを作ろうとすると、もの凄い割合で、このからっぽの卵に出くわすというおはなしもあります。

この卵の秘密が、どんな世界の秘密につながる秘密なのか。唐の時代の中国では、何か世の中に大きな影響を与える存在が、特別短い時間で世の中に出る方法として、卵に宿ることがあると信じられていましたが、ヨーロッパでは、この卵が割れる音の方が気にかけられていた様です。

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