第14話 ナオの日記 六月十五日

 アルとトーエイの考えがナナメ上すぎて、アタシにはよく分からない。

 朝、二匹とも姿を見ないなぁと思っていたら、勝手に学校までついてくるし……



 ホンットにビックリしたんだから。シンゾウが口から飛び出ちゃうくらい。



 それに、『世界セイフクするから学級委員長になれ』って。あんまりにも二匹が自信まんまんに言うから、意味が分からないを通りこして、分からないアタシがおかしいのかな? って思っちゃったよ。


 手の平の上でアタシに背中を向けているアルの顔をのぞき込んだら、こぼれ落ちそうなくらい目をむいていた。

 トーエイは、口開けすぎ。またアゴはずれるよ?

 まさか、同じコトを言うなんて思ってもみなかったんだね。

 仲がいいんだか悪いんだか。


 そもそも、アタシの世界セイフクとアルの世界セイフク、それとアタシの学級委員長のどこがつながるの?



 「だって、いきなり世界セイフクとかできないじゃないですか? 世界の前に国……いや県……町? そう、まず地域から。一番近いのはクラスのセイフクだと思ったんですけど、変ですかね、ナオ様?」

 「やっぱりナオはアホちんだな。『千里の道も近所から』と言う言葉を知らないのか? そして、表向き世界をセイフクするナオを、ウラであやつる真のシハイシャがワタシだ」



…………千里の道は一歩からじゃなかったかな?

 


けどまぁ、何となく分かったよ。ようするに、セカイセイフクするには地道にコツコツと努力しなきゃいけないってコトね?


 世界セイフクって、そういうものなの!?


 で、アタシは何をやればいいの? 自分が学級委員なんて、考えたコトもないから分かんないよ。



 「ナオ様は……勉強の方が……ちょっと……何て言うか……大変ザンネンな結果でしたので、クラスをセイフクするのに、まず勉強をガンバっていただこうと……」

 「運動でさえ、目も当てられなかったな。人望もなさすぎるし。とにかく、できるコトからだ。ワタシがみっちり勉強を教えてやるから、カクゴしておけよ!」



 ちょっとショック……アタシって、そんなに頭悪い?

 こんなコト、ヤモリやハムスターに言われちゃうアタシって……


 イヤだよぉ~……


 世界セイフクも学級委員長も……勉強も……

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