第11話 〇〇、心のダイアリー 六月十五日

 一時限目の算数の授業が、もうムチャクチャ……



「保健室に行ってきます」



 って、あの子、授業をさぼりたいだけじゃないの? あの子が出て行った後の、あの教室のシラケた空気と言ったらもう、とても授業中とは思えなかったわ。


 東京から引っ越してきたからっていい気にならないでほしい。

 ユビキタスのカックンに話しかけられたって、どこまでホントかしら?


 だって、ユビキタスの中でもファンへの対応が『塩』……いいえ、クールなカックンが、あんなさえない子に話しかけるなんて……ね。



 まぁ、カックンはそこが魅力なんだけど。



 そんなウソをついてまでクラスの人気者になりたかったのかしら? チヤホヤしてほしそうな顔してるものね。あのたれ目が『かまってほしいオーラ』を出してるのよね。


 そうそう、今日、あの子の席の近くで栞を拾ったの。和紙でできた、ホンモノのモミジの落ち葉のような栞。保健室へ行くって、教室から出て行った時。



 これって、あの子のモノかな?


 なくなったりしたら、あの子困るかな?

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