第八話 あえて見過ごした

李縛は丘に立ち、劉星達の後ろ姿を見ていた。

董壊も同様だ。戯れを台無しにされ、機嫌を損ねていた董壊だったが、今は別の目で一行の後ろ姿を眺めていた。


「よろしいのですかな?」

「あれはこの董壊の障害である」

「障害? 一体どれほどの障害だと言われるので?」

「この董壊の生涯に幕を引きかねんほどだ」

「なんと......連中はそれほどの脅威だとおっしゃるので?」


信じられないと李縛は驚愕した。


「ならば摘み取っておくべきです。精鋭騎兵に背後を襲わせて首を刎ねておきましょう」

「勇者を嬲り殺すのは戦士の無情の快楽である。されど、天は許すまい」

「天が、あの者達を守ると言われますか?」

「この董壊。天より定めを授かりし者。分からぬはずがない」

「董壊殿は天帝の如くですな」


両手を広げて、董壊は空を抱くように振舞った。

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