第5話
オムライスを食べ終えた僕は一さんにダメ元でお願いをしてみた。
「ねぇ、僕を誘拐してよ」
「あのな?そんなことしたら俺は犯罪者になってしまう。
そうなると貴方をシンガポールに連れて行くのも不可能だぞ?」
「そうだよね」
「で、なんでシンガポールなんだ?」
「僕の初恋の人がシンガポールにいるかも知れないんだ」
「話が見えないな」
「うん、僕は30年くらい前に死んでいるんだ」
「まぁ、前世だもんな」
「うん、2018年に死んでる」
「そうか……」
バカみたいな話だってわかる。
でも、本当なんだ。
僕は僕の知っているすべてのことを一さんに話した。
「信じてもらえないだろうけど……」
「信じるよ」
「え?」
一さんがニッコリと笑った。
「言ったろ?」
「鈴鹿隼人さん……いや、貴方にはお世話になったことがある。
一生分の世話にな」
「え?」
「それが同姓同名でも俺は貴方を信じる。
それが俺ができる償いだからだ」
「償い?」
「まぁ、気にしなくていい。
とりあえず正規の手段で貴方をシンガポールに連れて行く」
「どうやって?」
「とりあえず警察だ」
一さんの言葉で僕の頭が真っ白になる。
「警察……?」
警察、なんだろう?僕はその言葉を聞いて頼りにならないというイメージしかわからない。
「大丈夫、警察は信用できる」
一さんがそういって僕の頭を撫でる。
「……え?」
その言葉を疑う根拠もない。
僕は、少し驚いたが信じることにした。
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