第6話

 そして、僕はひとりの中年の警察官を紹介してもらうことになった。

 急なことなのにすぐに会えることになった。

 喫茶店で待つこと30分。

 すぐにその警察官の人がやってきた。


「君が綾人くんかい?」


 警察官の人がそう尋ねてきた。


「そうです。

 小間 綾人、3歳です」


「おお、立派に自己紹介できて偉いね」


 そういってその人は僕の頭をなでた。


「んー。

 気持ちは32歳だけどね」


 僕がそういうとその警察官は首をかしげる。


「実は、綾人くん。

 鈴鹿 隼人さんの生まれ変わりらしいです」


「はい?」


 一さんの言葉に一瞬固まる警察官。


「多分、本当に生まれ変わりだと思います」


「君がそういうのなら信じよう」


 警察官の人がそういって僕の頭から手を話した。


「ありがとうございます」


 一さんがそういって小さく笑うと警察官も笑い名刺を僕にくれた。


「僕はこういうものだよ」


 名刺には、御手洗 正三と書かれていた。


「御手洗 正三さん?」


「そうだよ。

 まぁ、困ったことがあったらいつでもここのアドレスに連絡してほしい」


 正三さんがそういってもう一度僕の頭をポンポンと撫でた。


「ありがとうございます」


「で、状況を説明してくれるかい?」


 僕は、正三さんに状況を説明した。

 こういう近況報告っぽいものは苦手だな……

 でも、説明しなきゃ道は開かれない。

 僕の話を真剣に聞いてくれた正三さん。


「――そうかい。

 んー、信じることは出来ないけれど、信用をすることにするよ。

 隼人くんと呼べばいいかい?」


「いえ、綾人で大丈夫です」


「わかった。

 でも、状況が悪いな。

 このまま君をシンガポールにつれていけば立派な誘拐だ」


「でも、僕育児放棄受けてますし……

 多分、暫く僕の両親は気づかないと思います」


「そこが難しいところ。

 なので、とりあえず一くん。

 君は警察に届け出を出してほしい」


「届け出……ですか?」


「うん。

 綾人くんが虐待を受けていると通報だね。

 シナリオ的には、一くんは綾人くんを一時的に保護しているって状況を作るんだ」


 それを聞いた一さんは、何かを考えそしてうなずいた。


「わかりました」


 そして、一さんはすぐに警察に電話をした。

 そしてすぐに女性の警察官と男性警察官がやってきた。


「通報ありがとうございます」


 男性警察官がそういうと女性警察官が僕に目線をあわせて話してくれる。


「君が、小間 綾人くん?

 怖かったね、でも、もう大丈夫だよ」


 その口調はとても優しかった。


「私、葛城 美沙」


「僕は、加持 良一」


 ふたりは、そういって自己紹介をしてくれた。

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