第24話

スマホが鳴ってるな、と気付いて身を起こした。カバンの中か。

上京を起こさないように、腕をずらしてベッドから下りた。

「……はい。営業部の生田です」

『総務部の瀬戸ですー』

げ。きのこ。

『おはようございます、生田主任! 声枯れてますね、事後ですか?』

決めた。こいつ蹴り飛ばす!

「おはよう、きのこ。何か用?」

『台風接近で多分新幹線が停まるんです。生田主任、今泊まられているホテルには空室が無いので、別のホテルに移動して下さいね』

誰に話してるんだ馴れ馴れしい。

『LINEで地図送ります。出来れば生田主任の個人のスマホの』

「誰が教えるか、馬鹿きのこ! 会社の方に送れ。それから連絡は他の人に任せろ、きのこの声は聞きたくない」

『生田主任?』

「何だ、まだ用事?」

『好きです』

「お断りだ馬鹿野郎!」

スマホを切るとため息が漏れて、一気に疲労を感じた。誰が採用したんだ、あのきのこ。

「きのこきのこって煩いな、生田」

「あ、ごめん。起こした」

うわ。酷い寝ぐせだな上京。

「髪が大変な事になってる。シャワー浴びたら?」

ベッドで座り込んでいる上京の髪を撫でた。気圧の影響なのかな、いつもより感触が重い。

「きのこと何話してた」

「ホテルの変更だって。台風で新幹線が停まるらしいから」と言いながら上京、声低いよね?

「何できのこが連絡してくるんだ」

うわ、怖い。寝ぼけてるのかな。

「オレに言うな。寝起き悪いな、どうした?」

「個人の方か会社か」

「会社のスマホに決まってるだろ。何だよ、上京?」

「なら仕方ないな。でも何できのこ」

駄目だ。これは終わりが無い。

上京を抱き上げて浴室へ運ぶと「浴びておけよ」とドアを閉めた

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