第16話

「おまえが朝から晩まで一緒だから抜く時間も無い、少しは解放しろ」

「その割に溜め込んでないだろ」

は?

何言い出した?

「生田が寝ている間、俺がおまえの」その指、何だ!

「止めろ馬鹿野郎! 何してくれてんだ! それでオレは最近悪夢を見てたのか」

信じられない、可愛い顔して何してんだ。

「うなされるなら我慢しないほうがいいんじゃないか、違うか生田」

こいつ本気出したな、囲う気満々だとは思ったが。

「生田のあの顔、凄くそそるんだけどな。俺だけしか知らない顔」

狂気の沙汰だ、とんだ社内のアイドルだ。

いくら惚れたからって弄ぶなよ、それなら抱くよ。

「もう、上京と寝ない。今日からソファーで寝る」

最初からそうするべきだった、畜生。タオルケット持ち出そう。

「待て、生田!」

「何だ、謝るか!?」

「抱き枕が無いと俺は眠れない!」

「オレはおまえの抱き枕じゃない!」

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