第7話

「……では、御社の提示した内容でご納得いただけたのですね」

今日の商談は珍しく難航しなかったな。

きのこの前で威圧する上京を見せずに済んで良かった。あれは破壊力があるからな。

「契約しましょう。貴社の綺麗どころに来られては不平など言えませんよ」

容姿で判断されてもな。

まあ、契約が取れればいいか。

オレはどうだか知らないけど確かに上京は可愛いから。

「ありがとうございます。ではこちらにサインと捺印を」と契約書を渡した。


「噂は耳にしておりました。貴社には看板がおられると。なので今回、お目にかかりたくて直々に部長さんにお願いしていたんですよ。いや、噂以上に見目麗しいお2人と、……新人さんですか」

きのこが見つかった。

「はい、瀬戸と申します」

名刺くらい準備しておけよ、きのこ。ああ、オレが教えるのか。

「き・瀬戸。名刺を」

「まだありません」

総務部め。

「失礼しました」なんでオレが頭を下げる羽目に。

「いえいえ、優男の生田さん。あなたに謝られては胸が苦しいですよ」

は?

「お茶でもいかがです? 来られると伺ったので評判のスイーツも用意しました」

長居させる気? なんで?

「後で写真を」

なんだこのひと。

「上京さんもぜひ。いや、本当に可愛らしいですねえ」

やばい。

上京の手をちょんと触って一緒に立ち上がると「失礼しました」と同時に頭を下げた。

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