第3話
コンビニで10時に待ち合わせ。
肝試しなら深夜のはずだが
まだ親の保護下にある僕たちにはこれがギリギリのライン。
約束があると言うと、また面倒だから
コンビニに買い物に行くフリをする。
シャワーを2回浴びて、歯磨きは3回した。
べ、別に何も期待してないよ。
そんなことあるわけないし
だ、だから汗とか気になるから
夕食後、自分に言い訳しながら落ち着かない時間を過ごす。
「コンビニ行ってくる」
「え?今から?」
ヤバいかも。
「じゃあ、牛乳買ってきて」
「えー!無理だよ」
牛乳持ってカンナに会いたくない。
「なんで無理なの?」
あ、ヤバい。おとなしくやり過ごさなくちゃ。
「分かりました、買って来ます」
コンビニに早めに着いたけど、牛乳は帰りに買おう。
「おまたせ!」
カンナは風呂上がりのようだった。
髪が濡れていて、束になっていた。
それをゆるく結んでいるのが涼しげで
白い肌はしっとりと輝いていた。
唇と頬がほんのり色づいて
真っ黒な瞳を引き立てている。
ああ、僕たちは大人になってゆくんだな。
幼なじみのカンナの中に女性を感じて
自分の中の男性に気づく。
なんて、詩的な気持ちになるくらい
カンナは眩しかった。
「どうしたの?」
のぼせた僕の顔を覗きこむ。
「い、いや、なんでも。行こう」
僕たちには例の空き家に向かった。
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