第2話

「ねぇ、カンナ。僕の家の近所に空き家があるんだけど、そこで面白いことが起こるらしいんだ」


「え?なに?何が起こるの?」


よし、食いついた。

やっぱりこういうの好きなんだ。


「空き家の前になぜか鏡があって、夜にその鏡を覗くと、変なものが映るらしいんだ」


「えー?何ソレ、都市伝説?」


「僕もよく分からないんだ。今度、一緒に行って確かめてみないか?」


よし、言えた‼

返事を待つ間が、やけに長く感じる。



「そうねぇ…、いいよ。行ってみよう」



ヨッシャーーーーーーー‼



「じ、じゃあ、明日とかどう?」



まずは第一関門突破!

明日の夜、近所のコンビニで待ち合わせの約束をした。




もちろん、鏡の話は嘘だ。

僕が勝手に作った。

だから何も起こりはしないんだけど

二人っきりになれるし、告白するならこの時しかない。

カンナを騙すのは気が引けるけど…


その日の放課後、僕は準備をはじめた。

まず、鏡を調達しないと。

自宅を探してみたけど、ちょうどいい鏡はなかった。

買いに行くしかないか。

だけど、鏡ってどこに売ってるんだ?

駅前の商店街やスーパーを回ってみたけど

なかなかいいものは見つからなかった。

何かが写し出される不思議な鏡。

僕のイメージの中では中世ヨーロッパ風の装飾が施された楕円形の鏡。

そんなのどこに売ってるんだ?

アンティークショップなんて、この田舎にはない。


仕方なく、僕は100円ショップで

少し大きめのスタンドミラーを買った。

僕の懐具合からしても、これが限界だ。

その鏡を、空き家の前に置きに行った。

空き家の玄関前に置いてみたが…

コレ…大丈夫かな?

とにかく、これで何とかしのぐしかない。






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