鏡─ノーカット版─
ぴおに
第1話
あの日
廊下ですれ違ったカンナが僕に笑顔でこう言った。
「おはよ!」
いつもの朝だった。
だけど、一つだけいつもと違った。
カンナから、いい匂いがした。
コロンかな?
高1の夏休み前。
あの日からカンナが僕の中心になった。
それからもうすぐ1年。
何度もコクろうとしたけど
なかなか踏み出せない。
今年も、このまま夏休みに入るのかな…
カンナは可愛い。
誰かと付き合うのも時間の問題だろう。
カンナの噂を聞くこともある。
焦る気持ちと裏腹に
なかなか踏み出せない自分に腹が立つ。
何かいい方法はないかな…
告白するにも、学校では絶対無理だ。
もしも誰かに見られて、しかもフラれでもしたら
僕はもう学校に行けないだろう。
カンナは可愛いが、少し変わっている。
カンナはオカルトが好きだ。
研究部に入っている。
そういうことから、男子はちょっと躊躇いがちだ。
僕もオカルトは嫌いじゃないけど
やっぱりちょっと気味悪いと思う。
だけどやっぱりカンナは可愛い。
そんなことを考えながら、駅から歩いて家へ向かう。
その途中に、空き家があった。
もう誰も住まなくなって長いので
庭は荒れ放題、家も随分くたびれている。
廃墟とまではいかないが、夜は怖いだろうな。
なんか出てもおかしくない感じ。
カンナはこういうの、好きだろうな。
そうだ、ここにカンナを誘おう。
なんか出そうな空き家があるから、肝試しに行ってみないか?
いいかもしれない。
これなら二人きりになれる。
だがしかし…
こういう肝試しは、研究部でよく行っているかもしれない。
何かもう一つ、興味を引かないと…
僕は一生懸命、知恵を絞った。
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