第118話
「美味しいよ」
僕は、嘘をついた。
おにぎりは、不揃い。
から揚げも卵焼きもしょっぱい。
でも、気持ちが嬉しかった。
僕の為に、お弁当を作ってくれる人なんていなかったから。
「嘘つき」
「え?」
「しょっぱいでしょ?」
「僕は、濃い味の方が好きなんだ」
僕は、嘘に嘘を重ねた。
でも、何故か罪悪感はない。
「やっぱ彼方君は優しいね」
「優しくないよ」
「うん。
知ってる」
「……」
久しぶり過ぎて何を話していいのかわからない。
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