第119話

「ねぇ。

 どうして、ここに来てくれなかったの?」



僕は、なんて答えていいのかわからない。



「私、ずっと待ってたんだよ?」



ごめんなさい。



「私、彼方君に何が出来るか一生懸命考えたの。

 でね、約束したお弁当を作ったら来てくれると思ってた。

 でも、来てくれなかった。」


「ごめんなさい」


「私の目が見えるようになるから?」


「うん。

 僕は、化け物だから……」



みさき先輩には、ばれたくなかった。

僕は、何を言っているのだろう。



「みさき先輩の目が、見えるようになったら嫌われるような気がして……

 だったら、嫌われる前に距離を置こうと思って……」


「嫌いになんかならないよ!

 だって、私……」



先輩は、そこまで言って口をふさいだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る