第97話

「先輩には負けます」


「勝っても嬉しくない……」



先輩は、そう言うとクスクスと笑った。



「ねぇ、彼方君。

 明日も、ジョギング行こうにゃん」


「うん」


「彼方君、ノリが悪いにゃん」


「え?」


「そうだ。

 日向は、ノリが悪いにゃん」


「え?」



池宮君まで、何故語尾に『にゃん』をつけるのだろう。

これは、僕もにゃんをつけるべきなのか?



「どうしたのにゃん?

 元気がないにゃん」



心配そうにみさき先輩が、僕の顔を覗き込んだ。


あー。

くそ……

みさき可愛い……



「なんでもないにゃん」



僕は、とうとう語尾ににゃんをつけてしまった。

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