第92話

――一時間後



「はぁ……

 疲れた……」



僕は、思わず声をあげてしまった。



「もう、だらしがないぞ!」



先輩は、そう言って僕の鼻を指先でチョンと突いた。



「え?」


「やっぱ、彼方君、可愛い」


「え?え?え?」



僕は、ただ混乱した。



「さ、家に帰って着替えてお昼休みに会おう?」


「あ、送っていくよ」



僕は、先輩を家まで送っていった。

先輩の家は、学校のすぐ前だった。



「学校から近いね」


「うん。

 だから、この学校を選んだんだー」



先輩は、そう言ってクスリと笑った。


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