第93話

あ、僕、先輩の手をずっと握ってるや……

目が見えるようになったら、傷づかないかな……?


こんな化け物と手を握ってしまって。


僕は、手を放そうと先輩の握る手を放そうとした。

すると、先輩は、僕の手をぎゅっと握った。



「ねぇ、今日の帰りも送ってもらってもいいかな?」


「え?

 いいけど……」


「じゃ、約束ね!」



みさき先輩は、そう言って僕に手を振ると家の中に入っていった。

さて、僕も家に帰ろうかな……

僕は、家に向かった。



家に帰ると、婆ちゃんが嬉しそうに僕に話しかけてきた。



「彼女が出来たの?」


「彼女じゃないよ……」


「あら、そうなの?」


「うん。

 って、見てたの?」


「朝の散歩コースでね。

 ちょっと見たの。

 可愛い娘さんじゃない」


「うん。

 友達だよ」


「そう……」



婆ちゃんは、そう言って、温かい紅茶を出してくれた。


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