第86話

みさき先輩は、ゆっくりと俺のお腹に手を当てた。



「あー。

 本当だ、ぶよぶよ」



みさき先輩は、そう言うとクスリと笑った。



「朝、一緒にジョギングする?」


「え?

 先輩、朝にジョギングしてるの?」


「そだよー」


「危なくないの?」


「大丈夫。

 屈強なボディーガードがついているから」



屈強なボディーガード?

もしかして、彼氏の事かな?

そうだよね。

先輩ほど美人だったら、彼氏の一人や二人いるよね。


僕は、何故かがっかりしていた。

僕は、何をがっかりしているのだろう……



「へぇー

 彼氏っすか?」



池宮君が、何のためらいもなく聞いた。



「えへへ。

 内緒」



先輩は、舌をペロッと出して笑った。







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