第10話 深夜の学校の屋上で
「もーし、もーし」
「誰・・・」それは紛れもない理奈の声。
「僕、いや、オレ、下北沢。こないだは逃げ出したりしてすまない。もう一度チャンスをくれないか」
「いいわ、じゃあ今晩零時に同じ場所で・・・」
「同じ場所って、学校の屋上か。でも、そんな時間って鍵掛かって入れない」
そう話を続けた時には既に電話は切れていた。
不思議なことに屋上に通じる扉の鍵は掛かっていなかった。扉を開けて屋上に出ると、あたりは真っ暗。それでも暫くすると目が慣れてきたせいか、フェンスの辺りに人影らしきものが確認できた。
「鮎沢さん」
亮太はその人影に駆け寄った。
「待った」
「あたしも今来たところ。驚いたでしょ、こんな夜中に」
「ぜんぜん」
「ところであたしに話って何」
「こないだの・・・」
そこまで話出したのは良かったのだが、緊張のあまりそこから口籠ってしまった。
「いいわ、じゃあ、あたしの方から話をするわね。あたしは宇宙人なの。だから、あなたと付き合えない。この世界の誰ともね」
「それって、断り文句」
「信じてっていう方が無理かもしれないわね。この世界は近いうちに滅亡する。あたしはこの世界が滅亡する前に、この世界の動植物の標本サンプルを採取する目的でこの地に滞在しているの。あなたも標本サンプルにされたくなかったら、あたしに近づかないことね」
「それでもいい。それでも。オレは、オレは理奈のことが好きだから。理奈と一緒に居れるのならどんな形になったって構わない」
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