第6話 『恋愛のお札』に秘められた謎

「どっちも大丈夫だよ、兄弟」

 振り向くと、麗が忽然と姿を現していた。


「お前と兄弟の契りを交わした覚えはないぞ」


「これで見てみ」

 麗は掴みかかろうとする亮太の手に眼鏡を握らせた。


「あっ、鮎沢さんの背中に『お札』が貼られている」

「あの『お札』は目では見えない。量子グラスを通して出ないとね」


「これがその、リョウシグラスか」

 亮太はもの珍しさも手伝ってか、辺りの生徒達の方にもグラスを向けた。不思議なことに男子、女子に関わらず、『お札』が貼られている者が何人かいた。


「『お札』が貼られているのはカレ、カノジョがいる印」

 麗が隣で耳打ちして来た。

「売約済みってことか」


「おはよっす」

 ひときわ目立つ声が背後から聞こえた。


 亮太は反射的に振り向いた。量子グラスを掛けたまま。

「凄いや、全身『お札』だらけだ。三十枚はあるな。さすが学年一の美女。モテモテじゃないか。うん、ちょっと待てよ。うちのクラスにそんな美人なんて、いたっけ」


 亮太はグラスを外して女子たちを肉眼で確認した。

 そこに立っていたのは援交女子ーズ。なるほどねえー。そういうことか。


「お前、何、見てるんだ」リーダー格の竜子が睨み返してきた。


「そこ、早く席に着きなさい」

 教壇に立った先生が竜子と亮太の触発を制した。

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