第5話 『恋愛のお札』の効果たるや

 翌日の放課後、下駄箱前で理奈の帰りを持ち受けていた。

運よく、理奈達が姿を見せた。


「これからみんなでカラオケに行かない」

「いいねえ、それ。いこいこ」

「理奈も行かない。あたしは・・・」

 理奈は靴を履き替えようと腰をかがめた。おかげで未防備になった背中が亮太の目前に広がった。


 今だ、亮太は挨拶がてらに「さよなら」と告げると、理奈の横をすり抜け際に『恋愛のお札』を背中に貼り付けた。


 次の日、亮太は舞い上がる気持ちで学校に行った。

「おはよう、鮎沢さん」思い切って声を掛けた。

「おはよう」理奈は目も合わせずに返事を返した。


「おかしいな、全然効果がない」

 見ると、理奈の背中に貼ったお札が見当たらない。あたり前か、普通は毎日着替えるものなあ。着替える時に『お札』なんて貼られていたら気付くよなあ。ちょっと待てよ。だとしたら、『お札』に気付かれたか。もしかして、『お札』を貼ったのがオレってことも。モー絶望だよ。


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