第4話 巫女の秘伝『恋愛のお札』

 帰宅した亮太は自宅マンションの鍵を開けようとして面食らった。

「あれおかしい、鍵が開いている。誰かいるのか」


 そのまま部屋の扉を開けると、ベッドの上には麗に姿が・・・。


「ちょっと入らせてもらったぜ」

「何でお前が家にいるのだ。それもオレの部屋に。お前は『座敷わらし』か」


「お前が寂しいだろうと思って、励ましに来てやった。感謝しろよ」

「寂しかねえや」


「コクって3分で撃沈しただろ、お前」

 麗は嬉しそうに着物の袖をまくって腕時計を見せた。


「それを言うために、わざわざ来たのか」

「あたしはあんたの味方だ」

 亮太の目全に黄色い短冊に似た紙を突き付けた。


「なんだ、季節外れの七夕でもするつもりか」

「これは『恋愛のお札』だ。これを好きな相手に貼り付ける。するとどうなるか」

「どうなるんだ」

「貼り付けられた相手は、貼り付けた相手の虜になる」

「よくわからんが、惚れ薬みたいなもんか」


「亮太、誰か居るの・・・」

「いけねえ、母ちゃん帰って来た。お前・・・」

 振り返ると、もうそこには麗の姿がなかった。

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