第2話 椿 麗(つばき れい)見参

 今日は告白すると決めた日、それでも亮太は平然を装い、いつも通りに教室に入り、いつも通りに自席に着いた。


「どっこいしょ」

「ジジイくせえな、お前」

「えっ、昨日の巫女。何でお前がここにいるのだよ。それに何で巫女の姿なのだ。制服あるだろ、制服」

 昨日に出会った巫女が、何故か亮太の隣に席に平然と座っていた。


「ちょっとそこ、静かに」先生の檄が飛んだ。


「怒るとこ、そこかよ」

 亮太には、先生は元より、紫色の髪をした巫女が平然と席に着いている光景に、クラスの誰一人として違和感を抱いていないことが不思議でならなかった。


「あたしは椿 麗(つばき れい)、宜しく」


「絶滅危惧種のヤンキーか、お前は・・・」

「でも、転校生だろお前、皆に挨拶はいいのか」

「転校して来たのは、お前の方だろ」

「オレがか・・・」


 『何をたわごと』をと心の中では反芻したが、また先生の怒りを買ってもたまらない。ここは見送るのが賢明と引っ込めた。

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