母は何かと目の調子が良くない。大きな病気こそないが、充血から始まり、最近は白内障の手術もした。


 パートから帰宅し、エコバッグを台所に下ろすと、リビングのソファで寝そべっていた私を母は呼んだ。


「ねぇ、変なふうになってない?」


 母は左目の目元を指差す。

 確かにそこは赤く腫れ、その中心は膿んでいるかのように白くなっている。


「膿んでるみたいかなぁ……」


 もう少し良く見てみようと顔を近付けたら、白い点が皮膚の下でぐるりと回り、焦げ茶の瞳が私を見た。

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