第6話

 ちょっとした革製の名刺入れを二つ程出す。


「これなら、大したものは入らん。

 まぁ、小銭は入るが、それでも悪用はしにくいだろう。

 これでちょっとした実験をしてみようじゃないか?」


「実験ですか、それでならいいですよ。

 ちなみに、持っていっても大丈夫なように機能が切れるようにタイマー機能を付加しますので。」


 タイマー機能か……これは、他にも色々できるのじゃないだろうか??

 それとも、万が一を考えたハッタリということもあり得るかもしれないな。

 まぁ、それはいい、とにかく実験を始めよう。


---

数時間後

「これは……こんな使い方があったなんて。

 それに、こんな特性があったなんて……。」


「なんだ、全然検証していなかったのか。

 なんだってそうだぞ、あるものをそのまま受け入れるだけなんて、誰にだってできる。

 知ることから初めて、そしてそれからどうするかだ。」


 このおじさんの言うように、僕のアイテムバッグは色々と知らないことだらけだった。

 確かに通常の使い方をすれば、魔力をバカ食いするから使い物にならない。

 けど、何も入れていない状態だと、体感で言うと1/1000くらいになっているようなんだ。


 このおじさんも魔力を消費している感覚は少ないといっていた。

 それに、共有だけなら拡張の半分程度の魔力使用のようだった。

 勇者様のアイテムバッグは両方ついてるけど、魔力の供給元は自分だから何の問題もないんだけど。


 ただ、この名刺サイズのアイテムバッグでも共有はとても危険だ。

 貨幣なら遠方に移動させることが出来る。

 これはとても危険なものなんじゃないだろうか?


「ところで、これは制限させることはできないのか?

 後、何か入ってる時とそうじゃないときが分かるようになるといいんだが。

 あと、タイマー機能もいいが、持ち主の指定とかできないもんか?」


 晴天の霹靂とはこのことなんだろうか?

 考えたこともなかった。

 自分のスキルで何が出来るかなんて、検証する必要なんて全く感じていなかったんだけど、これは色々やってみる価値があるんじゃないだろうか。


「まぁいい、じっくり検証してくれ。

 私達は、セカンくん君を歓迎する。」


「わかりました。

 この国のために、ひいては勇者様のためにやれることをやってやりますよ。

 ありがとうございます!」


「おーさま、お話は終わりました?

 あ、たいしょーだったっけ。

 まぁなんでもいいや、そろそろあの国がですね……。」


 えっと、おーさま? 黄様? 王様……。

 え? なんでそんな人が自分みたいのの面接してんの?


「なんだ、動きが早いな。

 ああ、魔物が増えたという噂があったが、あれは軍備増強の言い訳だったのか。

 まったく人間のが怖いとはよくいったもんだ。」


「えっと、王様が? なんで??」

「いや、私は王様ではなくてな、いずれ勇者ゼロの国になる、勇者支援国家を作っただけの一般人だぞ。

 仕方なく、トップ代理とかやっているがな。」


 いや、それ実質あんたがこの国の王様でしょ、何なのこの人???

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