第3話
僕はとても期待されていたんだ。
鞄等を扱うお店に僕は生まれた。
鞄とはいっても、貴族が使うような
僕は幼いころにスキル"空間"を取得した。
両親はそれはことのほか喜んで、伝説にもある空間魔法が使えるのではと期待されていたんだ。
けど、僕は……。
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「そろそろ飯の時間だな、すまんがセカンいつもの料理セットだしてくれ。」
「はいはい、少々お待ちください。
それで、今日はパンですか? ご飯ですか?」
「パンで頼む、料理当番は誰だっけ??」
「いえいえ、今回は僕はなんにもしていないから僕がやりますよ。」
そういって、勇者ゼロ様たちのご飯を用意を始めるために、バックパックから簡易コンロと鍋にフライパン、いくつかの肉と野菜とパンを取り出す。
普通に考えたら、入りきらない荷物でも僕にかかればあっさりと入る。
……いや、正直に言おう、僕だけにしかこの機能はまともに使えない。
僕の空間魔法、いや空間スキルとでもいうべきか、は、アイテムバッグ
普通の鞄よりもより多くの荷物が入るのがアイテムバッグで、夢のようなスキルだと思うだろう。
けど、これには制限があって、使うにあたり魔力をバカ食いする。
一流の魔法使いでも、一日に半分程の魔力をもっていかれる。
一般人なら一時間がいいところだろう。
それだけの魔力があればどれだけのことができるか冒険者なら分かるだろう。
そして、魔力がなくなると中身がその場にぶちまけられる。
魔力を使うから、使い続けたいなら放置することも出来ない。
幾人かの商人は欲しがったが、どう使うかが容易に想像ついて色々理由をつけて渡すことはなかった。
アイテムバッグとして定着したものは仕方ないとして、他に伝説の空間断裂や空間破壊、集団転移、いっそのこと一人転移でもできれば重宝されただろう。
けど、僕はアイテムバッグ以外に"空間"スキルを使うことはできなかったんだ。
結果、
そのため、冒険者ギルドに居ても、仲間ではなく必要な時にのみ雇う荷物持ちとして扱われてきた。
そんな僕を、勇者ゼロ様は拾って下さったんだ。
そんな恩を少しでも返そうと、積極的に雑用を行うようにしているんだ。
さっきも戦闘では見てるだけだったしね。
けど、そんな楽しい日々は続くことはなかった。
積極的にアイテムバックを使ううちに、僕の中でスキルが大きく成長してしまったんだ。
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