第2話

 スキル"地図"発動


 目の前に地図の幻影が投射される。


 こうすれば、スキルの保持者でなくても見ることができる。

 もちろん、誰にでもできるものではなく、私も鍛錬した結果できたことだ。


「たいしょー、あっちの国にうちの商隊が到着したみたいっすよ。

 んで、こちらの国からは、なんちゃら将軍とかが出かけていますね。」


「そうか、大体予定通りだな。

 しかし、あの将軍がか、この方向ならもしかしたら……。」


 地図の上にはいくつかマークが表示されており、商人、軍人等を表している。

 スキルの鍛錬により、出会ってマークを付けたいと念じた相手は地図上に表示されるようになっており、この国の発展の基本であり主軸といってもいい。


 一度念じてしまえば、地図には表示されるようになっていて以後は念じる必要もない。

 今は平面図で投射しているが、もっと細かく指定すれば積層型の地図を出すことも可能だ。


「やっぱ、おうさまはすごいなー。」

「おうさまじゃないよ、そう呼ぶと怒るんだから。」

「おこらないよ、怒鳴るけど。」


 今聞こえてきたのは"地図"スキル持ちの子供達だ。

 自分が居なくなったら使えないのでは意味がないし、なにより使えないと言われていた"地図"スキルを持つものに自信を与えることになるので、第一人者である私が直々に教鞭をとって教えている。


 今回は、社会見学といったところだろうか。


 ちなみに、教育の甲斐あって、現在では"地図"スキルを複数人で使うことによって私の地図に迫るものが出来てきている。

 ただ、マーカーに関しては私の意識に付随する物なので、いずれ表敬訪問の形でもとって色々な国にで挨拶に行こうと考えているところだ。


 ちなみに、マーカーについては、こいつが一番伸びがいいな。


「どうしたんすか? たいしょー?

 いきなりこっちを変な目で見つめてきて。

 今更、整った顔立ちに気づいちゃいましたか!?」


 こういうところがちょっと残念だが、いま一番育てている生徒というか、もう学園は通っていないから、弟子のようなものではある。


「いや、なんでもない。

 はぁ……。

 それより、肝心のマーカーについては報告がないようだが。」


「え~、なんでため息吐くんですか?

 いい男だとおもうんすけどね。

 ……肝心のマーカーというと、あれっすね、ゆーしゃのマーカー。

 今は、なんだか南の島に上陸してるっすね。

 なにやってんでしょ?」


「わからんが、こんな島に、何があるかなんて聞いたこともないし。

 どこぞの国の偉いさんに無茶ぶりでもされて、依頼の品を探しているというのかもしれんな。」


 うむ、ありそうだな。

 しかし、それなら大きな商隊を南下ルートで少しゆっくり進めることにするか。

護衛に、一個小隊をつけておこう。


 後、このタイミングであそこの国には……。


 そうこうと軍議を進めて行くとあっというまに日が暮れる。

 他にも色々手を打たねばいかんなと考えながら、そろそろ就寝しようという時間になったのだが、そこで客人が訪ねてくることになった。


 普段なら翌日にしてもらうのだが、私が、最優先で対応させるように頼んでいる類の人物だったこともあり、眠気は気力で吹き飛ばし、簡易な正装を身に着け、待たせているという応接に向かう。

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