第10話・くつがえせない結婚

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 その頃、神殿の一室では灯したランプを床に置き、イシュリンとワイク、オーヤの三人が車座になり善後策を練っていた。


 オーヤはイシュリンに迫る。


「イシュリン、あの女は受け入れずに追い出すべきだ。おれはどうしてもあの女を信用できずにいる。アキは形だけの結婚でも“囚われた妃”を取り返すため必ずここへ来る。あの女はおれたちに災いをもたらす」


 ワイクもイシュリンに額を寄せた。


「飛翔と結婚させるのはどうだろう。飛翔は彼女に好意を抱いており、彼女も同じに思えた。魔力が消えれば、アキが彼女を必要とする理由もなくなる」


「憂理はすでにアキと結婚している。誓われた結婚をないものにはできない」


 イシュリンは否定する。


「憂理は彼女自身の意思ではないのにネイチュに降ろされて特別に強い魔力をもつ存在になってしまった。飛翔もそうだ。ネイチュに元からいる者として、私たちには連れてこられた彼らを守る義務があるんだ」


 ふたりは黙る。


「それに、アキが魔力で私を倒そうとしても、私のチカラはネイチュの神の意志によるものだ。私を倒すことはできない。倒せないからには和平を考えるよう、私はアキを説得したい」


「わかった」


 ワイクは納得した。


 イシュリンと共にオーヤを見たが、彼は答えなかった。





 〈続く〉

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