第11話・ドーム最後の朝(1)
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夜明け前に目覚め、私は与えられた住処(すみか)の外に出た。
まだ暗い足元に気をつけながら神殿の前へ行く。
高台の端から見下ろす。
家々はまだ眠っていた。
空が白みはじめる。
「最後の朝寝を楽しむといい」
ゆっくりとその場にしゃがんだ。
イシュリンは魔力に頼らない生き方を説いており、ドームの中では魔力を使わない生活が見られた。
しかしながら、強い魔力を持つものは相当数いると感じた。
ここでいう強い魔力とはこういうものだ。
両手または片手で攻撃ができること、防御の盾が作れること、空に立てること、さらに言えば転移という“瞬間”移動ができること――。
強い魔力を持つものは千人にひとりいるかどうかであり、高給や身分を求めて帝国のお抱えを志願する。
それゆえ、イシュリンにそそのかされレジスタンスに加わった者――我々からの自由とやらを求め、せっかく授かった強い魔力を“誤った”方向に向けている者――のことを、我々は認めず説得などしない。
ただ殲滅するのみだ。
私は指で地面をならす。
リバティーを拠点として、レジスタンスは空を移動できるレベルの者を広い森のあちこちに配置していた。
彼らは協力者から短時間の接触で情報や物資を得る一方で、周辺の町々を密かに見回っていた。
昨日、飛翔たちが私を見つけたのもその役割についていたからだ。
残念ながら、今朝はサジンが先だった。
森の外にある町を破壊した爆発音が聞こえた。
ドームがビリビリと震え、人々が不安げな顔で家から出てきた。
こちらへ上がってくる。
森の向こうで朝焼けに不釣り合いな黒い煙が立ち上る。
サジンは私ほど親切ではない。
人がいようがいまいが関係なく振り下ろした両手で上空から町を破壊する。
レジスタンスは私を徘徊させておけばよかったのだ。
自ら災いを呼び込んだ。
その甘さが私を微笑ませた。
〈続く〉
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