第31話 改めて。
「やっと顔を上げた。強引に襲ったりしないよ。」
学は、ホッとした表情かおをする瑠奈を見て、いきなり押し倒さなくて良かったと思う反面、寂しく思う。
…ホントは、抱きたいけどさ。さすがにこんなにウブだとは。
「遅くなっちゃったから、今日はもう送っていくよ。」
「そんな…。」
瑠奈が悲しそうに学を見る。
「駄々こねないの。朝、迎えに行くから。」
学としては、一緒にいたいが、見た目とは違ってウブな瑠奈と一晩を過ごすことは、自信がないのだ。
抱きしめて、額にキスをすると、瑠奈はまた赤くなった。
「今、動かないと、本当に帰さないぞ。」
抱きしめたままそう言うと、瑠奈がジタバタする。
「か、帰る!帰ります!」
慌てる様子を見て学はクスクス笑う。
歩いて帰る道のりは、見慣れている景色。なのに手をつないでいるだけで、違って見える。
「あの…。こういうのって、恥ずかしいんだけど。」
「そう?俺は、瑠奈と手をつなげて嬉しいよ。」
「これってカップルみたい。」
学が思わず吹き出す。
「あの…。今日から俺の彼女なんだけど?」
瑠奈の顔を覗き込むように言うと、瑠奈はまた赤くなる。
「瑠奈といるとホントに飽きないな。」
「人を飽きないとかかわいいとか、ホントに失礼な奴だな!」
瑠奈は本気で恥ずかしくてたまらないのだが、その反応が学には、可愛くてたまらない。瑠奈は本当に恋愛にはオクテで恐ろしく免疫がないのだ。
「褒めてんだよ。そこまで免疫ないと思ってなかったから。」
「もう!そんなことばっかり言うな!」
瑠奈はずっと顔が赤いままだ。こんなに照れ続けることは、普通なら難しいだろう。
瑠奈の家まであと数メートルのところで、学が瑠奈の顎を引き寄せて唇を重ねる。
「おやすみのキス。」
優しく微笑む学。
「学って、キス魔?」
「す、好きならこれくらいキスするのが普通なの!」
瑠奈が赤い顔のまま、キョトンとして聞くので、今度は学が赤くなってしまった。そして瑠奈の前に直立して言った。
「改めて、言います。俺と付き合ってください!」
「は、はい。」
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