第2話 映画の後。

「ドキドキしたねー。あのシーン、どうなるかと思ったよ。」

「だよなー。まじビックリしたよな。」

映画館を出て、歩きながら観たばかりの映画の感想を言い合う。これぞ、映画を一緒に観る楽しみだと瑠奈は思う。


「何か食いながらゆっくり話さない?もう少し食いたい。」

「いいよ。」


…さて、どこが良いだろう?映画館では、ポップコーンやホットドッグを片手に過ごしたので、それほどお腹がすいているわけでもない。が、学が言うように、もう少し食べたい気もする。そして、ゆっくり話せるところ。


「やっぱり、あの店だよね!」

二人同時に言う。あの店とは、パンの食べ放題付きの、煮込み料理がウリのカフェだ。ドリンクバーもプラスして長く居たら、少し早い夕食だと思えば、値段としても、なかなか妥当である。


店に着くと、運良く、少し待っただけで席に着くことができた。

「今日はどんな鍋で出てくるかな。」

「おいおい。料理を決めるのが先だろう?」

料理を決めるでもなくワクワクしている瑠奈を、学が笑ってたしなめる。


この店では、煮込み料理がル・クルーゼの小さな鍋ごと運ばれてくる。カラー展開が豊富なので、鍋の種類を眺めるのも楽しみの一つなのだ。

「ねえねえ。決めた?」

「決めた。」

「じゃあ、同じのにする。」

また始まったと言わんばかりに学が苦笑する。というのは、瑠奈は鍋を見たいばかりでメニューにこだわっていないので、いつもこの調子なのだ。

オーダーを済ませると、ドリンクとパンを取って、席に座る。と、すぐにトークが始まる。二人なら、衣装からキャスティングから、とことん話せるのでお互いに気が楽だ。


「お待たせしました。」

可愛らしい鍋が二つ到着した。今日のそれは、鮮やかなブルーと、定番のレッドだ。中の料理は、煮込みハンバーグ。トマトソースの匂いが鼻をくすぐる。

「いただきまーす!」

「熱ッ!うん、うまい!」

しばらく会話を休憩して、熱々の料理に没頭する。


「ところで、最近どうよ?」

ハンバーグを半分ほど食べ終えたところで、学が切り出す。

「何が?」

「何がって、その…やっぱりなんでもない!」

慌ててパンにかぶりつく学を見て、瑠奈は怪訝そうにしている。

「何よそれ。」

「ところでこの週末どうしてる?」

「土曜日はバイト。日曜日はヒマしてるよ。学は?最近はデートの相手もいないわけ?」

「バカ。ほっとけ。」


学といるのは楽だ。しかし恋愛感情とはちょっと違う。しかし学に彼女ができたら、こうして会うことができなくなるのはさみしい。とはいっても、このところデートの相手もいないことは、瑠奈としては気がかりな気持ちもある。

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