この小説は、男の子の憧れ、魔法少女が詰まった物語です。
主人公月代灯夜は、とてもこころの優しい少年です。それは容姿よりも彼の本質なのでしょう。
その彼がある事件から、人間と妖の連綿と続く戦いの歴史に巻き込まれていく。
その優しさから、それは運命だったと思わずにはいられない。
そして彼のその力と優しさが、戦い敵(妖)を叩き潰すことが当たり前と思っていた魔法少女たちを変えていく。また彼も戦いの中で、何をすべきか覚悟していくことになるのでしょう。
しかし、この物語の魔法少女たちは大変ですね。主人公は天御神楽学園に入学したばかりなのに、一週間も経っていないうちから連日連戦。休む間もないようです。
物語は始まったばかり、まだまだ曲者の魔法少女(?)も登場しそうですね。
さきの展開に、彼の容姿の秘密とか、しるふのレベルアップなんて隠し球があるとたのしいなぁ。
銀髪に碧眼に白磁の肌を持つ人間離れした容姿を持つ小学六年生の月代灯夜は、ある日、風の精霊シルフと仮契約して魔法少女(仮)となった。ただし、問題だったのは灯夜が男の子だったこと。
風を操る新米魔法少女になった灯夜が、平穏な日常の裏で妖怪や精霊が巻き起こす騒動の解決に人知れず奔走するファンタジックなストーリーに夢やロマンが広がる。
代々、妖怪や精霊を退治してきた名家出身の先輩魔法少女・四方院樹希と遭遇し、研究所から逃げ出した四大精霊の捕獲にあたるが、プロ意識が高くプライドも高い彼女と衝突するごとに、「正義の魔法少女」とはなんたるかを考えさせられる。
そして事件に巻き込まれた大切な友達を救うために一生、魔法少女として生きていく契約を受け入れる灯夜の決意に胸を打たれる。やはり魔法少女は、大人の理屈抜きでピュアな存在でなくてはいけない。
灯夜の健闘で騒動は解決したものの、ここまでは単なるプロローグ。
魔法少女になった影響で強制的に名門女学院の中等部に入れられてしまい。お嬢様たちに囲まれた学園生活を送ることになってしまった女装男子の今後が注目だ。
(「男の娘っていいよね」/文=愛咲優詩)