とある"死者"の希望のハナシ

全てを肯定あいされるような、恵まれた生まれではなかったように思う。

目のこともあった。器用な子供でもなかった。

よく失敗したし、たくさん泣いた。

両親にも、弟にも、迷惑をたくさんかけてしまった。


けれど。


ひとに、恵まれた。

世界がぼくに優しくなくとも、出会う人が優しかった。



転んだときに、伸ばされる手が多いこと。



それがきっと、きっとぼくの唯一の自慢とりえだった。


たくさんのひとがぼくを探してくれるでしょう。

ここにくるきっかけになったところには、迷惑がたくさんかかるかもしれない。


ああ、それでかまわなかった。


もう戻れないのならば。

誰かの心にいるぼくが、代わりにそこで息衝いてくれればそれでいい。


優しいかれらは、きっとぼくを、思い出として、傷痕として、どこまででも連れて行ってくれる。


それは、なんて、残酷で、幸福なことだろう。



さようなら、人生。ありがとう。



人の優しさで生きてきた。


人の優しさで、生きてゆくのだ。



過去これまでも、未来これからも。



その優しさに巣食っている限り。


ぼくは永遠に、どうしようもなく、幸せでわらっていられるのだろうから。

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とい宅二次創作 十位 @mintotoi

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