【ゲーム】『真・女神転生V Vengeance』をプレイしました。締めくくりに相応しい内容!
2024年7月28日
アトラスの人気RPGであるメガテンシリーズ最新作『真・女神転生V Vengeance』をプレイしました。こちらは2021年11月に発売された『真・女神転生V』に様々な新要素を追加したもの。発売は2024年6月14日。
『真・女神転生V Vengeance』
公式ページ:https://megaten5.jp/vengeance/
あらすじ(公式ページより転載)
人間を襲い、 混沌の世界を作らんとする悪魔たち。そして神の秩序を守らんとする天使の組織<ベテル>。対立するこれらの争いに巻き込まれた主人公は、ダアトを探索中<尋峯ヨーコ>と出会い、行動を共にすることになる。魔法を使用し、共に戦線に立つヨーコと主人公の前に、<カディシュトゥ>と名乗る4人の女魔たちが立ちはだかる。「見つけたぞ、復活の鍵を・・・・・・」カディシュトゥ・リリスは、主人公を<復活の鍵>と、そして自らをく虐げられる者>と呼ぶ。果たして彼女たちの目的とは•••••?虐げられた者たちによる復讐譚が、今始まる
約二年半ぶりの新作である『真・女神転生V Vengeance』。元々無印版が後半ストーリーが唐突になり、登場するマップも東京23区の東側ばかりで新宿や渋谷といった副都心が出てこないこともあって、「これ制作の都合でマップ一つ分削除されたのでは?」と作品としての出来に不満がありました。そんな無印版を経て二年半ぶりの作品として『真・女神転生V Vengeance』が発売されました。ただ無印版に対する完全版というわけではなく、新規シナリオを追加した言わば拡張版と言えるでしょう。発売から一ヵ月半、じっくり楽しんできました。
『真・女神転生V Vengeance』で追加された一番大きな要素は新シナリオ「復讐の女神篇」でしょう。無印版のストーリーを「創世の女神篇」とし、それとは全く異なるストーリーを描くのが「復讐の女神篇」である。
「復讐の女神篇」では新ヒロインの尋峯ヨーコが登場し、彼女の登場によって『真・女神転生V』という物語の方向性が変わっていく。ゲストキャラとして主人公に同行し、仲魔と同様にバトルにも参加する。
また今回の「復讐の女神篇」ではクラスメイト達がゲストキャラとして参戦していく。その中で尋峯ヨーコの次に長い時間同行するのが、無印版でのヒロイン磯野上タオである。……言ってしまえばヨーコとタオの美少女二人を侍らせて冒険するのが「復讐の女神篇」である(?)
さてメガテンシリーズではよくロウとカオスの二つの属性があり、主人公の選択がどちらの属性に偏っていくかによってルートが分岐していくゲーム。無印版では敦田ユヅルと太宰イチロウといった野郎共が属性を担っていてルートが分岐していく。ただ今回の「復讐の女神篇」ではゲストキャラとして長く同行することもあって、ヨーコとタオのヒロインたちがそれぞれ属性を持っており、道中の選択肢で主人公が選んだものについてヒロイン二人が共感したり不満を持ったりしていく。ロウはタオで、カオスがヨーコ。ある種のギャルゲーかもしれない。
ただ無印版「創世の女神篇」に登場するタオは作中唯一のヒロインということもあってか、立場としては中立でした。一方で今回の「復讐の女神篇」ではロウヒロインとして登場するため、無印版と比べると「そんな子だったっけ?」というギャップがあったりなかったり。端的に言ってしまえば典型的な優等生。皮肉を込めて言うと「いい子ちゃん」という印象。さらに悪く言ってしまえば、「綺麗事しか言わない頭お花畑のヒロイン」という印象が否めない。タオちゃん、そんな子だっけ?
ヨーコについては、見た目の雰囲気はヅカ系(ヅカ系という言葉の使い方が合っているかはわからない)のミステリアス女子といったところ。ただまあ若干中二病っぽさがあるリアリストという感じですかね。いやリアリスト(現実主義者)というよりはニヒリズム(虚無主義)の方が近いかも?
といった具合に、「綺麗事しか言わない頭お花畑のヒロイン」と「若干中二病のニヒリストヒロイン」の二人に挟まれるかたちであり、正直に言えばどちらのヒロインにも賛同したくない。ただロウとカオスで主張や思想が極端すぎてどちらにも賛同したくないというのはメガテンシリーズではお馴染みのため、そういう意味ではシリーズを踏襲したキャラクター造形ではありますね。
さてそんなヒロイン二人を侍らせての冒険ですが、ストーリー後半からは立場が大きく変化していく。後半からは新ヒロインのヨーコが明らかに悪役として描かれ始めるのである。そしてラストダンジョンにおいても主人公に立ちはだかる存在として登場する。とはいえ属性としてはタオとヨーコで別れているため、ヨーコルートでエンディングを迎えることも可能。実際に一周目のプレイではヨーコのカオスエンディングに至った。
ただこれも後半以降でヨーコがあまりにも悪役としての存在感を出している以上、ヨーコのカオスルートがある意味バッドエンド的な内容として解釈できてしまう。ヨーコも彼女なりの思想があって目指すべく創世を掲げるものの、その結論が致命的に間違っているといったところですかね。ヨーコの主張自体は納得ができるものですけど、作中に登場する悪役であるカディシュトゥの影響によって歪んでしまった、というところが大きいかも。
そういうこともあり、綺麗事しか言わない頭お花畑ヒロインであるタオの掲げる主張や目指す創世も綺麗事ではあるのですけど、でもヨーコと比べたらまともと言えるのかもしれません。そういう意味ではタオによるロウルートはある種のトゥルーエンドであるのかも。なんかみんな幸せになって理想郷を築いて大団円なんですけど、「復讐の女神篇」のタオが「綺麗事しか言わない頭お花畑ヒロイン」であるせいか、なんか釈然としないというか、妙な薄っぺらさを感じるのは気のせいでしょうか?
ラストの展開を構図だけで語るならば、「世界征服をする魔王ヨーコを倒すべく勇者タオ一行が立ち向かう!」というような王道ファンタジー的な展開。それくらいにタオルートとヨーコルートではっきりと善悪がつけられている印象でした。
と、なんだかタオさんのことを散々悪く言っていますけど、これ『真・女神転生V』という物語としては一番真っ当な結末であるのかもしれません。
そもそも『真・女神転生V』という作品は、「創世の玉座を巡って神々が争っている」「前任の創造主が神々から知恵を奪い悪魔に貶める」「知恵は人間の魂に融合している」という設定のもと物語が描かれている。前任の創造主が己の地位を守るため神々を創世のできない悪魔に貶めたが、元々は神々だけの創世争奪戦でしかありません。
それを踏まえて『真・女神転生V』に登場する人物たちが掲げる創世は、盲信的に前任を引き継ぐ主張があったり、多様性とかいいこと言っているけどその主張は本人のものではなかったり、玉座ぶっ壊して創世そのものをできなくしたりと、主張している本人たちの本心はもちろんあるが、どれも悪魔の影響によって思想のかたちが変わってしまっているのです。「復讐の女神篇」のヨーコにしたってカディシュトゥの影響がなければまた違った創世を掲げていたのではと思います。
一方でタオ陣営は、特定の悪魔の影響がないと言ってもいい。タオの綺麗事がそのまま創世へ繋がっていると言えるでしょう。掲げる創世についても悪魔や神について言及せず、常に人の視点なのです。
これがポイントで、そもそも創世は神々の行いでしかなく、人間が介在する余地がないものでした。しかし前任の創造主が保身から神々の知恵を奪い、結果として奪った知恵が人間の魂と融合したことで、創生レースに人間の意思が介入することができたわけです。
そして『真・女神転生V』において人による人のための創世を行おうとしているのは、実のところタオしかいないのではなかろうか。そう考えると、「創世の女神篇」と「復讐の女神篇」を合わせたうえでの『真・女神転生V』真のトゥルーエンドは、タオルートになるのではなかろうか。次点で「創世の女神篇」の真エンディング。
そうすると、今回追加された新シナリオ「復讐の女神篇」がはっきりと属性が分かれているのも、『真・女神転生V』という作品の締めくくりとしてのシナリオという意味合いが強いのでしょう。
そんなわけで、まあ綺麗事過ぎて若干薄っぺらさはあるものの、物語として綺麗に締めくくったという感想を抱きました。
最後にストーリー以外についての『真・女神転生V Vengeance』の感想。今回はバーチャルトレーナーというボスと再戦できるエンドコンテンツが追加され、これはポケモンでいうところのバトルタワーにあたる要素と言えるでしょう。ただ複数のルートがありストーリーが分岐していくメガテンシリーズにおいては、ボスと再戦するためにストーリーを周回し、周回するなら他のルートに進んで全ルートコンプリートするのも立派なエンドコンテンツだと思っています。
そういう意味では、確かにバーチャルトレーナーという素晴らしいエンドコンテンツはありがたいですけど、ただストーリー周回する目的の一つが失われた感覚もあります。現に「復讐の女神篇」は両方のルートを制覇しましたけど、では「創世の女神篇」を含めた全6ルート制覇するかと言われると……正直だるい。実際二周目においては「ボス戦はバーチャルトレーナーでよくない?」と思ってしまい、ボス戦を抜いたらただただマップ走ってストーリー見るムービーゲーにしかならなくなりました。バーチャルトレーナー、エンドコンテンツとしてよくも悪くもあるかも。
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21年12月18日公開
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