【小説】『ウは宇宙ヤバイのウ!〔新版〕』を読みました。トンデモ展開オンパレードの至高のバカSF!

2024年2月23日






 どうもご無沙汰してます。年明けから仕事が激務になり二月からは確定申告でさらに慌ただしくなって、加えて二月中旬はコロナでダウン。一方で先月はポケモンSVのランクバトルで最終三桁順位をとったり『風来のシレン』の新作をプレイしたりと、公私共になんだかんだ忙しかったです。


 まあそんな事情によりカクヨムのことなんかすっかり忘れ去られ、ふと思い出したかのように読書してこうして記事を書きました。……いやホントに真面目に二か月間カクヨムの存在を忘れていました。


 ということで今回読んだのは『ウは宇宙ヤバイのウ!〔新版〕』。






  書籍情報



  著者:宮澤 伊織


 『ウは宇宙ヤバイのウ!〔新版〕』


  早川書房 ハヤカワ文庫JAより出版


  刊行日:2023/9/20



  あらすじ(Amazonより転載)

 高校生・久遠空々梨(くどう・くくり)の下校途中、いきなり巨大隕石が地球に直撃! 全人類は一瞬にして滅亡した!!――目を覚ますとそこは隕石衝突の三日前。混乱する空々梨を前に従姉妹の非数値无香(ひすうち・ぬるか)が言うには、空々梨は星間諜報組織〈偵察局〉のエージェントだったが、世界線混淆機の起動によって記憶を失い日本の女子高生になってしまったらしい。再び迫る隕石、襲い来る異星人の艦隊。人類、大ピンチ!? 宇宙がヤバイ大活劇、新版爆誕! 大胆な改稿と、今井哲也氏による挿絵を多数追加。さらに著者書き下ろしのあとがき・参考文献を収録。








 以前テレビアニメ放送していた『裏世界ピクニック』の原作者による小説で、元々はライトノベルとして発表されたものを早川書房にて新装版でリリース。


 約十年ぶりの復活とのことですが、十年前……十年前は自分も普通にラノベを読んでいてシリーズを追いかけたり新作をチェックしたりしていたのですけどね……まったく知らないタイトルでした。まあ巻末の著者あとがきでもまったく売れなかったと書かれているわけですし、ラノベファンでも知名度があまりよろしくなかった作品だったようです。まあでも十年前のラノベシーンだと『リゼロ』とかが書籍化されるようになった時期で流行りとしても異世界ファンタジー一強の時代ですから(今でもそう?)、さすがにSFは厳しかったか。


 という感じで十年越しの新装版では、今の時代に合わせて表現方法などを大幅に改稿。内容としても百合がやりたいがために主要登場人物が全員少女に変更される(少なくとも外見は。中身は知らない)など、もはや別物となっているそうです。






『裏世界ピクニック』の作者ということで『裏世界ピクニック』と比較……しようにもできないくらい真逆な作風が特徴。『裏世界ピクニック』はどちらかというとシリアスで雰囲気も鬱々したものですし、SFとしてもSF作品であることは間違いないですけどSFファン以外の方に薦める際にはSFというよりはホラー作品として薦めた方が納得してもらえるような作品でした。


 一方で『ウは宇宙ヤバイのウ!』は、言ってしまえばバカSF。まあタイトルからしてもうバカSFなんですけどね。テンション高めでドタバタトンデモSF展開のオンパレード。こういうバカSF……嫌いじゃない。というか大好物。


 大体宇宙を股にかけるエージェントが地球の女子高生に変身している段階でもうバカなのに、クマとかゴリラとか何故か出てくるし、極めつけは妹型生物とかいう地球外生命体が登場したときはもうダメだった。もうツッコミが追いつかないくらいにネタが詰め込まれていて、読んでいてまったく飽きない素晴らしいバカSFでしたね。ちなみになんだかんだ言って一番のお気に入りはやはり妹型生物ですね。





 まあそんな感じで、同じ作者とはいえ『裏世界ピクニック』と比べられる要素が何一つもないのが『ウは宇宙ヤバイのウ!』。なんでしょう……SFファンの方にしか伝わらないかもしれませんが、草野原々作品のような方向性かもしれない。いやまあバカSF自体がバカをやっているので方向性としてはどの作品もバカなんですけどね。ただ日本のオタクカルチャーを取り込んだバカSFという点においては共通しているものがあると思います。




 正直なことを言うと、あくまで個人的な感想にはなりますが、『裏世界ピクニック』よりも『ウは宇宙ヤバイのウ!』の方が面白かったし、何ならシリーズ刊行するなら『裏世界ピクニック』ではなくて『ウは宇宙ヤバイのウ!』の方にしてほしいまである。まあこれはただ単に自分がバカSFが好きで『ウは宇宙ヤバイのウ!』の方が好みに刺さっただけなんですけどね。『裏世界ピクニック』も普通にいい作品であることには間違いありません。




 そんなこんなでかなり久々の読書にして久々に好みド直球な小説を読めました。なんでしょう、真面目なハードSFもそれはそれでいいですけど、個人的にはもっとバカSFが増えてほしいですね。SFシーンにおいては何かと本格を求めがちですし、度が過ぎると「これはSFじゃない!」とか暴れ出す人とかいますけど、トンデモ科学で全力でSFをバカにするのも立派なSFですので、バカSF増えてほしいです。






 という感じで『ウは宇宙ヤバイのウ!〔新版〕』でした。






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19年3月1日公開

【漫画】『裏世界ピクニック』もしかしたらコミカライズ版の方が好きかもしれない?

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886711486/episodes/1177354054888669995





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