【小説】オーディオブックなるものを利用してみた話

2020年6月6日





 どうも。緊急事態宣言下では自粛(ただ仕事がなかっただけ)により暇を持て余していましたが六月になってから急に忙しくなり、二ヵ月の自粛(ただ――以下略)によって鈍った体ではあまり調子が出ず余計に疲れた一週間を過ごしましたが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。リモートしてますか? リモート羨ましいです。



 さてそんなこととは関係なく、自分オーディオブックなるものを初めて利用しました。今回はそんなオーディオブックの体験記みたいな内容です。




 オーディオブックとは何か?


 なんかいい感じの横文字で表していますけど、つまりはただの朗読です。既に出版されている書籍をプロのナレーター(俳優や声優)が朗読して、「聴く読書」を提供するサービスになります。そう、つまりはただの朗読です(二回目)。




 今回利用したサービスは「Audible (オーディブル)」というもので、Amazonが提供するサービスの一つです。Amazonといえば大手通販サイトではありますがそれ以外でも様々なサービスがあり、映画やアニメを配信している「Amazonプライム・ビデオ」や音楽配信の「Prime Music」などが有名かと思います。その朗読バージョンが「Audible」という認識で大丈夫かと。Amazonのトップページにあるメニューからアクセスできますので、詳しくはそちらを参照してください。




 Audibleの基本的なシステムとして、まず月額が¥1,500。会員特典として毎月一枚コインが配布され、このコインは一枚で一作品とで交換できます。無料コイン以外では基本一作品ずつ購入となり、大体の相場として一作¥2,000~¥3,000といったところです。最初は三十日間の無料体験ができコインも一枚もらえますので、とりあえず一本試しに利用してみることが可能です。









 オーディオブックを利用しようと思った経緯としましては、自称物語中毒者としてもっと別の形で物語を楽しみたい、という考えから行きついたものでした。


 たとえば車の運転中とか、はたまた街中を徒歩で移動しているのでもいいですが、そういった移動の時間をもっと活用したかったのです。もちろん電車とかに乗っていれば普通に本を読めばいいのですけど、さすがに車の運転中とか道を歩いているときにながら移動するわけにもいきませんからね。「音楽を聴く感覚で物語を楽しむのならやっぱり朗読でしょ」という感じです。



 そして四月になるかならないかくらいのときにAudibleに辿り着いたのですが、このときちょうど無料体験が三十日間ではなく六十日間に伸びた期間拡大キャンペーンの締め切り間際だったので、早速登録しました。


 Audibleのジャンルの割合として、小説よりもどちらかというとビジネス書の方が多いような感覚がします。具体的な数字はわかりませんが、数万タイトルある中でおよそ一割か二割程度が小説作品かと。




 いろいろと小説を漁っているときに『時をかける少女』(著者:筒井 康隆 朗読:ゆかな)を見つけましたので、とりあえずもらったコインで交換。久々の『時をかける少女』だし、しかも声優さん朗読でテンションが上がり、次外出した際にでも聴こう! というタイミングで緊急事態宣言が出されて「外出れないじゃん!」となりしばらく放置しました。で、四月のあるときたまたま家でできる仕事があったので、PCで作業する傍らオーディオブック版『時をかける少女』を流しました。ちなみにAudibleはPCでもスマホでも聴けます。タブレットでもいけます。






 ということで利用レポ。




 その1:仕事中


 データ整理等の単純作業であれば、頭でオーディオブックを楽しみつつ手だけを動かしていられます。ですがたとえば書類作成やメールなどの文面を考えながらだと、仕事の方に脳のリソースが割かれオーディオブックの内容が全然頭に入ってこないんですよね。ええ、自分昔から音楽聴きながら勉強ができない、そんな同時進行ができないタイプの人間なのです。そのため「アレ? どういう流れだっけ?」という感じで戻しながら聴くはめに。そのときの仕事は一時間半程度で終わるものだったのですが、実際に聴けたのは一時間分といったところでしょうか。ちなみにオーディオブック版『時をかける少女』の時間は2時間45分です。短編小説で約三時間です。これ……普通に読んだ方が早くない?




 その2:電車の中


 仕事場にちょっとした野暮用ができたため、人が少ない時間帯を狙って通勤。スマホで聴くことに。乗車中はボケーとしているくらいなのでオーディオブックによる朗読小説はちょうどよく、なかなかの聴き心地でした。でもやっぱり電車の中ということもあり意識も手もフリーなわけなので、「これ普通に小説読めばいいのでは?」と思ってしまったのはここだけの話。





 その3:徒歩


 普段最寄り駅まで歩いて移動していまして、駅に向かう道すがら聴いてみることに。うん、徒歩でもボケーとしているので、音楽を聴く感覚でオーディオブックに意識を集中することができ、こちらもなかなかな聴き心地。でもまあそんなに長時間歩いて移動するわけでもないので、短編小説で二時間も三時間もかかるオーディオブックはちょっと不向きかも。いや、音楽なら一曲およそ四、五分程度ですから、何曲か聴いていれば目的地につきますし、区切りもちょうどいいんですよね。なんと言いますか、二十分とか三十分歩くくらいなら何かしらの乗り物に乗ってしまうので、長時間かかるオーディオブックは正直どうなんでしょう? まあ当てもなくただ散歩するのであればオーディオブックもありかと思います。





 その4:車の運転中


 これ意外だったのですが、車の運転とオーディオブックって相性が悪いような気がします。そのですね……走行音で朗読が聴き取れないんですよ。で、聴きとれるよう音量を上げようとすると、今度は音漏れが気になっちゃう……。低音をズンズン強調したDQNカーみたいになるのはごめんです。まあそんなポンコツな車に乗っているのが悪いんですけどね。あと安全運転していると普通に聞き逃してしまいます。ラジオなんかは聞き流し前提なところもあるかと思いますけど、オーディオブックは物語なので聞き流しだと内容が頭に入ってこない感じがします。運転中は個人的になしでした。






 その5:家事


 個人的に一番しっくりきたのが家事をやっているとき。仕事だと適当な成果を出すわけにもいきませんので仕事に意識が集中しますし、運転中も安全を考えるとながら運転をするわけにもいかない(そもそもオーディオブックが聞こえない)ので、意外と聞き流してしまいそれこそ所詮BGM程度の役割しか果たせません。ですが掃除したり洗濯したり飯作ったりする家事であれば、テキトーにやっても困るのは自分だけです。しかも毎日それなりの時間がかかりますから、徒歩で移動中よりも長い時間を確保することができます。自分もなんだかんだで『時をかける少女』を家事やりながら聴き終えました。








 という感じで、オーディオブックを家事のお供にしています。




 ……ですが、六十日間の無料体験が終わる間際に、Audible退会しました。




 自分気がついたのです。集中して効率よく家事をこなして浮いた時間で普通に読書すればいい、と。




 というか、純粋に料金が高い! 月額1,500円で一タイトル無料(つまり一冊1,500円)、有料は一つ2,000円~3,000円。……普通に読書すれば文庫本でも一冊600円とか700円ですから、やっぱ高いなぁ……。まあナレーターを起用して読んでもらっているわけですから、収録にコストがかかってしまい結果高額になってしまうのも納得できるのですけどね。値段に関しては仕方がないかと。






 という感じで、自分はやめてしまいましたが、オーディオブックに興味がある方は一度無料体験をしてみてはいかがでしょうか。自分も無料体験した結果退会したわけですけど、もしここでユーザーとオーディオブックとの相性がよければそのまま継続すればいいだけですしね。やってみて損はないかと思います。




 あとオーディオブックの魅力として、アニメファンであれば声優さんが朗読してくれるだけでもメリットが大きいかと思います。アニメ化したライトノベルであれば出演した声優さんがそのまま朗読していたりします。


 自分も『この素晴らしい世界に祝福を!』(以下『このすば』)の無料サンプルを聴いてみたのですが、アクアを演じた雨宮天さんナレーションでの『このすば』はいい感じでしたよ。とくに雨宮天さんによるカズマの台詞がすごく新鮮でした。


 ちなみに『このすば』は一巻を上下巻で別れており、それぞれお値段2,000円、上下巻合わせて4,000円かかります。時間は上下巻合わせて五時間程度。……うん、ラノベ一冊4,000円で五時間かかるなら、普通に読書しますよ。ハイ。








 そんな感じで、オーディオブックの利用感想でした。






 ……さて、五月分のコインで交換した名作海外SF『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(11時間12分)の続きと格闘してきます。








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