【映画】『聲の形』地上波初放送! やっぱ物語は「テーマ」が大事だよね

2018年8月27日 公開




 昨日の話で申し訳ないですが、大ヒット映画『聲の形』がNHK Eテレで地上波初放送されました。劇場公開は2016年9月17日。『君の名は。』や『シン・ゴジラ』などが大ヒットしている中での公開で、私もその流れで劇場で見ました。2016年はまさに「映画の年」といっていいほど充実した年であり、映画『聲の形』も「映画の年」を代表するタイトルだったと記憶しています。



 映画『聲の形』公式サイト

 http://koenokatachi-movie.com/




 今回地上波初放送とのことで、二年ぶりに見ることに。


 公開当初は原作のこととかあまり知らず(話題になっていたのを噂程度に聞いただけ)、映画館へ行く前も簡単なあらすじしか目を通してませんでした。そのためキービジュアルを見て「ああ、青春系の恋愛ものかー」くらいにしか思っていませんでした。どの番組かは忘れましたが、当時ワイドショー的な番組で「青春恋愛映画」と簡単に紹介されていましたし。



 だがしかし! とんでもない! 


 これは決して恋愛映画などではない。ワイドショーで「青春恋愛映画」と紹介した奴! 絶対映画見てないだろ!



 これは青春映画であることは間違いないが、本質として扱っているのは「いじめ」である。それも現在進行形で行われているいじめではなく、いじめのその後をテーマにした物語である。


 ……まあこの映画に関しては、誰かの感想やレビューを見るくらいならさっさと本編を見た方がいい類の作品なので、今回ここでは映画の感想は割愛します。別に私が感想を述べなくても、ネットで検索すれば感想などいくらでもヒットしますしね。放送を見逃した方は……Blu-ray買って見てください。




 じゃあ何の話をするのかというと、今回は作品の「テーマ」について。



「テーマ」とはなんでしょうか? 「テーマ」で調べると「主題」と出ます。では「主題」とは何かといいますと、「中心となる題目や問題」などといった意味が出てきますが、それ以外にも「芸術作品で、作者の主張の中心となる思想内容」という意味でもあります。



 そうです! 主張や思想なのです。


 つまり「テーマ」はのことです。



 そういう意味では、映画『聲の形』は最初から最後まで明確な「テーマ」があって、それ故とてもメッセージ性の強い物語だったと思います。考えさせられる内容、共感されやすい内容であり、そこがまた受け手側の心に強く響いてくるのです。



 こういった「テーマ」は『聲の形』のような直接的な開示の仕方もありますが、暗喩的な、間接的にメッセージを込めた作品も当然あります。そしてそういった作品は明確に開示されていないからこそ、受け手側の解釈次第でいくらでも「テーマ」が見出され、多様な感想が生まれてくるのです。ただ明確に伝えたい何かがあるのなら、前者の直接的な「テーマ」の方がより伝わりやすいので、この「テーマ」の表現方法とは伝えたいメッセージをどう扱うかに左右されると思います。



 さてこの「テーマ」ですが、残念ながら「テーマ」そのものが見えてこない作品も確かにあります。とくにアマチュア作家さんの作品とかに見られます。


 私自身も、カクヨムを含めたWEB媒体の作品に触れることが多々ありますが、よくあるのが「この作品は何を伝えたいのだろう?」と疑問に思ってしまうことです。そしてそうした「テーマ」が見えてこない作品って、読んでいても感じるものがなく、心に響かず印象に残らないパターンになります。結果、最後まで読み終わったときに「なんだったんだろう、この作品?」という感想になります。



 以前、これはカクヨムとは全く関係ないことなのですが、知人が書いた小説を添削する機会がありまして、私としても気合を入れて読んだのですが、残念ながら何をしたい作品なのか見えてこず途中脱落しました。その人に「この作品のテーマって何?」と尋ねたところ「テーマは恋愛です!」と答えました。いやそれ「テーマ」じゃねぇし! ジャンルだし!


 では「テーマ」が薄い作品は何が駄目なのかというと、作品の方向性がぶれてしまうのです。例の知人の小説も、メインキャラの恋愛をそっちのけでサブキャラとの友情シーンや、無駄に長い過去回想などがあり、ストーリーそのものが迷子になってしまっていたのです。




 そうです、つまり作品の「テーマ」とは、その物語のとなる大事なものなのです。


 極端な話、プロットの段階で世界観や人物の設定などを決める前に、まず作品を通じて伝えたいことテーマを決めてしまうといいでしょう。「テーマ」さえしっかりしていれば、正直設定やストーリーなどあとからどうとでもなります。



 もちろん「テーマ」が不要な作品もあります。ギャグ系などのエンタメ全振りな作品ならば、受け手側を笑わせることに注意すればいいのですから。しかしシリアスな内容であったり、ストーリーに重きを置いている作品であったりするものは、やはりしっかりした「テーマ」があった方が見応え(小説なら読み応え)が生まれてくるのではないでしょうか。つまりカタルシスです。


 誰かはすみません忘れてしまいましたが、とある作家さんが「たった一言伝えるために十万字の小説を書いている」みたいなことをインタビューか何かでおっしゃっていたような気がします。



 そういったことを踏まえると、映画『聲の形』はとてもしっかりとした「テーマ」があって、なおかつ意義のある「テーマ」を扱っているからこそ、非常に見応えのある映画となっており、見終わったあとでも心に深く突き刺さる何かを残してくれる作品だったと思います。



 私自身受け手側としての意見を述べるのなら、これまで面白くて感動した物語ってどれも明確な「テーマ」があった作品ばかりでした。「テーマ」が生かされている作品こそ、あとから振り返ったときに「見てよかった」と思える作品だと思います。


 つまり逆説的にいえば、人を感動させたい物語を作りたいのなら、まず明確なメッセージテーマを決め、その「テーマ」を生かすような世界観、人物、ストーリー展開にするべきなのではと、個人的に思っています。



 今回は映画『聲の形』の感想でも何でもなく、ただただ作品から思ったことを書いただけですが、まあこの『物語中毒者の戯言』というエッセイ擬きのタイトル通りで、とてもらしい内容だったのではと自負しています。



 というわけで、これぞ本当の意味で「戯言」でした!




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