第37話 謎の単語について
「レド……レッド……英語の赤じゃなくて?」
「それは私も真っ先に考えたんだけどね、言語が英語じゃないみたいだから。それだけ英単語とかだったら分からないけど」
マリエッタの考察に返事する。
今はあのせっかちな勇者の手紙の話をしている。大事な話なので、きちんと防音は施した。でないと安心出来ない。
国については、マリエッタ達も知らないそうだ。
「で、一番最初の文字はRなの? Lなの?」
肝心な話が出た。
麗佳はRではないか、と思ってる。『レイカ』と魔族語で書く時の文字と同じ字だったからだ。ただ、こちらのRに当たる音は、Lとほぼ同じ音なので、まだ分からない。
そういう事をきちんと話す。
「Lだったら、LEDとかじゃないよね?」
「待って! LEDのおかげで勇者が助かったって何!?」
思わずツッコんでしまう。
「LEDがピカー、と光って危機を知らせたとか」
「いやいやいやいや。こっちにはLEDはないから」
場が真剣過ぎたので和ませてくれたのが分かる。空気が少しだけ重くなってきたので正直ありがたい。ツッコミながらも笑ってしまう。
LEDとは何だ、と聞くオイヴァにジャンが説明してくれる。ヴェーアルは基本的に魔法光なのでそういうものはないのだ。他国の中流階級には電気はある程度普及しているが、地球ほどではない。
「原本がないということは、定冠詞とかも分からないんですよね。その言葉が名詞だったとして、ですけど」
ジャンがやんわりと話を戻してくれる。
「うん。分かったらもうちょっと絞れると思うんだけど」
なんだか難しい話になってしまった。
魔族語の名詞には定冠詞はつかないが、他国の言語のいくつかにはあるので、オイヴァは今度はすんなりと話を理解してくれる。
ああでもない、こうでもないと話しているうちに茶会の終わりの時間が来てしまった。残念だ。
とりあえず、帰ったらいろんな辞書に当たってみると言ってくれたのでホッとする。本来ならそれは麗佳がやるべき事だったのだ。色々と忙しくて後回しになってしまっていたが。
「それにしてもその勇者さんに何があったんだろうね。それが分かれば解決も早いんだけど」
それは本当にそうだ。
「急いだ理由が分かればね」
アーッレ王が怪しかったのならあんな事は書かないだろう。
本当にあの人に何があったのだろうか。
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