第7話 人の精子の数が減っている
デンマークで行われた調査で、健康な成人男性の精子の数が大幅に減っているとの報告がなされた。約半数が、自然受精が難しいほどの乏精子症だったという。原因はわかっていない。わが国でも最近男性の不妊症の症例が増えている。今や10組に1組は自然に子供ができない状態だとも言われている。やはり原因はわかっていない。
環境ホルモン(外因性内分泌かく乱物質)が原因とする説もある。環境ホルモンとは、人のホルモンと似たような働きをする化学物質のことで、たとえばプラスチックの一種であるポリカーボネイトから溶出するビスフェノールという物質は、女性ホルモンのエストロゲンと似た作用があり、これによってオスの生殖器が萎縮したという研究報告がなされた。ポリカーボネイトはかつて日本の給食の食器に多く使われていたため、大騒ぎとなり、多くの学校で給食の食器を磁器製のものに替えたとう経緯もある。ただ、ことの真偽は定かではない。
一方、精子数の減少はストレスが原因とする説もある。ある種の魚類は性転換することが知られている(実際は雌雄同体)。これは、自身の遺伝子を少しでも有利に残すために、オスがメスに変化するという説である。ランダムに精子をばら撒くオスよりは確実に卵子を生むメスの方が子孫を残しやすいからである。
理屈はわかるが、そもそもその性転換を促す原因は何か。エサの不足が原因ではないかと思われる。自然界は厳しい。個体数が増えすぎると、エサは不足し、エサを得るための競争はさらに激化する。するとストレスが増して、男性ホルモンの分泌が抑制され、オスがメス化していく。エサ不足による種の全滅を回避するため巧妙に仕組まれたプログラムではないかと思われる。
とすれば、人間界における精子不足も人口の増えすぎによるものとも言えなくもない。競争の激化によりストレスが増した結果、男性の生殖器に異常が出ているのである。世界の人口が近い将来100億人に達するとも言われているが、このまま精子数のげ減少を放置すると、ある時点から急激な人口減少に見舞われるかもしれない。
(さらに詳しく知りたい方は、拙著「不妊列島」を参照してください)
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