第2話 宇宙人は敵対的か友好的か

結論を先に述べれば、宇宙人は敵対的であると考えておくほうが無難である。

生物学的に見て、生命体(人間も含めて)に共通する基本原則として、自己増殖と比較優位がある。つまり、生命は絶えず自己を複製して増殖するものであり、さらに他の種に比して比較優位にあるものが生き残ってゆく(要するに自然淘汰のこと)というものである。これはDNAの利己性による。つまりDNAは自分を最大限複製するために、周囲のものを利用し、場合によっては絶滅させる。この理屈からすると宇宙人も敵対的と考えるのが自然である(宇宙人もDNAでできているという前提で考えた場合)。

そもそも宇宙人はなぜ地球に来るのか。その理由として考えられるのは、水や食料、資源、住むための土地(惑星)などを求めてやってくる。その際、先住民であるわれわれ人類と共存してゆく意思はあるであろうか。答えは否である。この地球内でおいてすら弱肉強食は自然の摂理として貫かれている。理性ある唯一の生き物である人間ですら、歴史の上では自らの生存のため弱者を殺戮し略奪し、自らの勢力圏を広げてきた。ましてや絶対的な比較優位にある宇宙人が地球に到来したとき、友好的に接触を求めてくるとは考えにくい。人類は絶滅させられるか、よくて植民地化されるであろう。

仮に宇宙人が友好的と予想されるケースがあるとしたら、以下の2通りが考えられる。

一つは、やってくる宇宙人が人類をはるかにしのぐ高度な知的生命体で、人類をサンプルとして保護する場合である。これは、今われわれ人間が動物に発信機を付けてその生態を調査し、絶滅危惧種を保護しようとするのに似ている。この場合、人類は滅ぼされる心配はないが、動物園の動物のような扱いとなり、到底対等な立場とはならない。保護され管理される一つの種となる。

今一つは、相互に互恵関係がある場合、つまり人類が宇宙人にとって有益である場合である。どのようなケースが考えられるかは様々な可能性があるであろうが、一例としては、今地球において盛んに行われている貿易のような物々交換や技術交換が考えられる。但し、互恵関係が成り立つためには互いに対等な立場で交渉ができるという前提が必要で、圧倒的格差があるとそもそも話し合いにすらならないかもしれない。はるか遠い宇宙からやってくる宇宙人の技術力が人類と同程度という可能性は考えにくい。

いずれにしても、相手がどのような存在かはっきりしないまま、安易に地球外の知的生命体探しをすることは、人類を危険にさらす恐れがあると考える。

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