不可思議情報の私的考察
ツジセイゴウ
第1話 エリア51の宇宙人はウソである根拠
エリア51の宇宙人ほど有名になった話はない。多くのテレビや雑誌で取り上げられ、ついにはキャラクターまで飛び出した。人間の子供ほどの背丈に、ほっそりとした体形、そして異様に大きな二つの目、UFOファンならずとも、あの姿に見覚えのある人は多いであろう。宇宙人といえば、の代名詞になるほどのキャラであった。
しかし、宇宙生物学的にみると、あの姿形はどう見ても不自然。そもそも、宇宙人が人間と同じような姿形をしていると予想すること自体、進化の原則から考えてもその確率は非常に低い。はるか宇宙から来た生命体に、なぜ二本の足と二本の手、それに目や鼻、口があるのか。それだけをもってしてもこれはウソだとわかる。生物の姿形を決定する要素としては、重力、気温、気圧、大気組成など数多くある。人類が今の地球で快適に暮らせることができるのは、これらの条件に適合した生命体として進化してきているからである。
仮に重力が今の地球の2倍になっただけで、今の人類の足の太さでは姿勢を保てない。ましてやそれより大きな重力かでは、足の数は二本よりも四本、六本の方が効率がいい。あるいはまったく逆に、何万年も宇宙空間を旅してきたと仮定すると、長い無重力生活で足は退化しなくなっているとも考えられる。要するに宇宙人が二本足で立っていること自体が不思議なのである。
さらに、宇宙人も人類と同じように酸素を吸って生きているとは限らない。この地球上ですら酸素なしで生きている生物は多数いる。また気温もそうだ。今の人類にとっては平均気温15度という環境が合っていても、宇宙人にも同じ環境が快適かどうかはわからない。要するに、宇宙人が宇宙服とか何か防御装置なしに人類と全く同じ場所に同じ環境下で居ることが不自然なのである。
これに対し、宇宙人ははるかに高度な技術により人類と同じ環境下でもすぐに順応できる能力を備えているかもしれないという反論がありそうだ。これは確かに筆者も否定はしない。ただ、それにしても骨格や姿形までもが人類にそっくりというのはありえない。そもそも宇宙人という言葉にも論理矛盾がある。つまり「宇宙人」という言葉には、宇宙から来る生命体は「人間」と似たような形をしているとの先入観が込められている。正しくは「地球外生命体」(ET)である。宇宙は広大で、そこに住むであろう知的生命体は、おそらく我々の想像をはるかに超える姿形をしていると考える方が自然である。
筆者の私見であるが、あれは姿形から見て米軍が新型戦闘機の研究(恐らく重力加速度が人体に与える効果の研究)のために乗せたサルではないかと考える。
(追記)
このお話につき、UFOファンの方から、進化の過程には普遍性があり、高度な知的生命体は必ず人間と同じような形に進化する、よって宇宙人が人間と同じような姿形をしていると考えることに矛盾はないというご意見がありました。
これは、とても的を得たご意見だと思います。人間の身体はほぼ左右対称に多くの器官が2つずつ付いています。この「2つ」というのは別に予備が一つあるという意味ではなく、最少にしてかつ最大の能力を発揮できるという意味で最も「効率的」な数なのです。
例えば、目が2つあることで、人は距離感や奥行きなどを知らず知らずのうちに測っています。だから物を立体的に見ることができるのです。
でも、3つ、4つあった方がさらによく見えるのではという方もおられるでしょう。でも、目が4つあると処理すべき情報量が急激に増え、それを脳内で処理する時間や労力も増してしまいます。そこまで厳密でなくても2つの目から得られる情報で十分事足りるのであれば、目の数は少ない方がいいに決まっています。
手や足の数にしても、タコみたいな姿形をした火星人が描かれたこともありましたが、2本よりもっと多い方がいろいろなことを一度に処理できて便利なのではと思われるかもしれません。でも、10本の腕をうまく使うとなると、やはり情報量だけが増えて仕事の効率性は低下します。目も耳も、手や足も「2」より多くても少なくともいけないのです。
やはり、2本の手、2本の足は究極の効率化された姿形であり、確かに宇宙的に見ても普遍性がありそうです。よって、ここまではこのUFOファンの方に軍配。
ただ、進化論的に見ると、昆虫の方が人間より進化レベルが上になるのだそうです。頭脳を使うという点では確かに人間が地球上で最も進化した生物でしょうが、運動機能という点では昆虫の方がはるかに優れています。
360度を一度に見渡せる複眼、鳥にも絶対にマネのできない高度な飛行能力を持った羽、安定的に身体を支えることのできる6本の足は、恐らく究極の機械でしょう。昆虫はこうした複雑な機械をあの小さな脳で制御し動かしているのです。
実際、宇宙モノSF映画では高度に進化した地球外生命体を昆虫スタイルで描いているものが数多く見られます。人間よりはるかに進化した宇宙人は、昆虫に似た姿形をしていると考える方が自然なようです。だとすれば、やはり2本の手と2本の足があるエリア51の宇宙人は宇宙人ではないと結論付ける方が妥当と思われます。
(追記2)
どうしても宇宙人がいると主張して止まない人もおられますので、一つだけ可能性を指摘しておきたいと思います。「地球内未確認知的生命体」です。これは、我々の知らないところで(例えば深海とか南極で)、我々とは完全に隔絶されて発達した高度文明をいいます。これならば、もともとの発生の地が地球ですので、我々と似た姿形をしていても不思議ではありません。類人猿だったころの初期人類の一部がそうした場所に隔離されて、独自に進化したとすれば、2本の手と2本の足があり酸素を吸って生きているとしても不自然ではありません。
ただ、もしそうだとしたらその文明の発達スピードが異常に早いのと、なぜ我々と日常的接触をしないのかが不思議です。
前者の問題については、産業革命後の目覚ましい発展を考えるとあり得ない話ではありません。我々人類より何千年か早く産業革命が起きていれば、当然はるかに進んだ科学レベルに到達していてもおかしくはありません。
後者については、正直よく分かりません。あまりに少数過ぎて、存在を知られることにより滅亡させられるリスクを考えている可能性もあります。ただ、仮にそうした別人類がこの地球内に共生しているならば、どんなに少数派でも何らかのゴミとか遺留物を出すはずであり、それがまだ見つかっていない以上、「地球内未確認知的生命体」説も怪しいと言わざるを得ません。
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