相変わらず雰囲気のある文体の掌編で、著者の知識を活かしたギミックが良い。もう少し長めの作品でワンクッション入れると秀逸なアイデアを更に活かせたと思うがこれは好みの問題。
一つまた一つと数え上げる声は、日常を一つ一つ砕いていく音数え上げれば何時が終わりかなんてわからない一つ、また一つ、声は破滅を積み上げる
主人公である少女が、台所からする不気味な音を聞くところから話がスタートし、少女が記憶を手繰っていきます。短い文章にも関わらず、作者の持ち味であるひたりひたりと忍び寄ってくる怖さと、得体の知れない不気味さが際立つ短編でした。