第21話(志穂編)
去年の花火大会を振り返ると浮かんでくるのは、全員がお腹を抱えながら、帰り道をヒーヒー言って歩いた記憶。
花火大会が開催されたので天気は良かったはずだが、肝心の花火が綺麗だったとか、見やすかったとか、そんなことが一切記憶にない。
それもこれも花火が始まる前、郁美が屋台の食べ物を大量に買い込んでしまったことが全ての原因だった。普段なら彼女のブレーキ役でもある真帆が止めに入ってくれるのだが、その日は真帆の家の事情により、彼女は遅れてやってきたのである。
『郁美が暴走しないように注意してね』
そう事前に注意されていたにも関わらず私と愛海はそれを怠ってしまった。気づけば大量の食べ物を郁美は抱えていた。
「――すまない。先に逝く……」
そう言ってまず先にダウンしたのが無理して買い過ぎて食べ過ぎた張本人。そして残された私達は合流した真帆も含め、打ち上がる花火を背景に余った大量の食べ物と闘うこととなったのである。
その結果は悲惨なもので帰りに私達(真帆は腹八分目で抑えた)はお腹を抱えて花火会場を去るという過酷な食後労働を強いられたのであった。
なんとか交通規制の掛かっていない国道まで辿り着いたのはいいものの、もう既に限界が近づいていた私達は急遽応援を呼び、駆けつけてくれたまなママ(愛海ママの略)の運転する車のおかげでなんとか全員無事に家へ帰り着いたのだった。
あれは本当に大変だったな……。
ちなみにその晩。愛海はブルーハワイのかき氷に襲われる夢を見てうなされたという。
今さらだが、どうしてあの場で食べ切ろうとせずに、全て家に持ち帰ってから家族に分けるという選択肢を思いつかなかったのだろうか?
誰もがそう思うだろう。私もそう思った。
それに対して愛海はなぜか哀愁漂う感じでこう言った。
「屋台の食べ物ってさ、祭りの雰囲気のせいかわかんないんだけど、どうしても会場で食べないとって思っちゃわない? 家に持って帰って食べると、なんか悲しいんだよね」
他はどう思うかわからんが私はこれに納得した。
確かにそうした雰囲気によって、冷静に考えればやらなくてもいいことをやってしまったり、無駄にテンションが高くなったりすることは何度もある。郁美もそんな状態だからこそ買い過ぎてしまったのだ。そうでなければ爆買いなんてしなかっただろうし、私達も無理して食べたりしなかった。祭りの雰囲気だとかそういったものが私達を間違いに走らせたのだ。
私はこれを祭りパワーと命名した。
この祭りパワーに感化される人を抑えることで、今年の花火大会は平穏を迎えられることになる。当日は郁美だけでなく他のメンバーにも目を光らせた方がいいかもしれない。祭りでテンション上がると、誰であれどんな行動に出るかわからない。
なんか大変そうだなぁ……。
ただでさえ愛海の恋のサポート役で大変だというのに。
本番前から既に疲れてきた。
花火大会当日の午前。愛海をバイクの後ろに乗せた私は炎天下の中、場所取りという任務の為に会場に向かって走っていた。
今日は午前中から早くも熱中症警報が出ているらしく、私達を焼くお日様のじりじり感がいつもの倍以上に感じた。
信号待ちしている際、横断歩道を母親と一緒に歩く小さな男の子と女の子が、私達を指差して「ルフィが二人いるー」と言ってはしゃいでいた。
私も愛海も背中に麦わら帽子を背負っているせいだろう。先程、愛海を迎えに上塚家を訪ねた際、まなパパ(愛海パパの略)から手渡されたのである。
そして偶然にもお互いの服装が五分丈ジーンズにTシャツとサンダルという似たり寄ったりの恰好になっていた。意図的に合わせたわけでもないのに、こういうときだけは息が合ってしまう。
「なーんか恥ずかしいな」
気心の知れた幼馴染とはいえ、私は服がお揃いというのは苦手なタイプである。
「場所取りするだけなんだから大丈夫だよ」
逆に愛海は少しも気にした様子はない。
おそらく私だからだろう。もし綾だったとしたら、彼女にこんな余裕は絶対にない(ぶっ倒れる可能性が高い)。
会場は愛海の家からバイクで15分ほどの距離にある。場所取りの開始は午前10時からなので10分前には現地入りするようにした。駐車場にバイクを停め、麦わら帽子を被った私達は会場へと歩いて行く。
「さすが熱中症警報出ただけのことはあるね。まだ昼にもなってないのにすげー暑い」
「関東の熊谷とか九州の日田はこれ以上だからね。さっき40度超えたって聞いたよ」
「ありえねー」
周囲には同じ目的で来た人達がチラホラといた。大学生、社会人、子連れのお母さんだけでなくお年寄りもいる。
「結構いるね」
ベージュのトートバックを肩に掛ける愛海は周囲を見ながら言った。
毎年花火は見ているが場所取りは今回が初めてだった。人数も多いし、事前に場所取りをしてのんびり座って花火鑑賞しようと愛海が提案したのである。
会場に辿り着いたので去年の記憶を頼りに場所を選ぶ。周囲の人も同じような場所にいる。
「ここら辺?」
「うん、多分」
「花火って向こうからこう上に上がってくるんだっけ?」
私が指差す方を見ながら、愛海は腕を組んで考え込む。
「過去の記憶だとそうだったはず」
「ならここでいいか。他の人もここら辺で場所取りしてるし」
「そうだね。それじゃあシート敷こう」
愛海のトートバックから厚手のブルーシートを取り出して敷く、四方にはペグ等でシートを固定する為の穴があるが、芝生を傷つけてはいけないという理由でペグの使用は禁止されている。
代わりに空のペットボトルに水道水を入れた物を持ってきた。そんなに強い風は吹きそうにはないが、これで飛ばされる心配もない。
「6人だから大型のシート持って来たんだけど、全員入るよね?」
「十分だよ。後は名前だけ」
愛海はガムテープをちぎってシートの真ん中に『シホ』と書いた。他の人に場所を間違われない為にそうするらしい。
「なんで私の名前なんだよ?」
「二文字だから。ガムテープの節約」
「アヤでよくない?」
「絶対よくない」と全否定された。ちなみに周囲を見渡してみても私達みたいにガムテープで名前なんて付けてる人はいなかった。
「よし場所取り終わり。帰るよ志穂」
「ウェー」
無事に場所取りを終えたのでさっさとひき返す。場所取りだけでもう体中が汗だらけだ。
「帰ったらシャワー浴びて寝て、起きたらまたシャワー浴びて準備しないとね」
「だね」
駐車場に戻る途中、これから場所取りにきた人たちと擦れ違う。少し慌てているようにも見える彼らの背中を見ながら、
「私達が確保した場所大丈夫かな?」
とられたりしない? と、愛海に尋ねる。
「そういえば上野の花見客はそういうことするやついるって、こち亀に書いてあったな」
「漫画かよ。でも実際そういうやついるだろうね」
「上野だったらそれは本当にありそうだけど、大丈夫だと思うよ。ネットで去年場所取りした人が夕方からでも確保できたってブログに書いてたし、奪い合いとかにはならないと思う」
「なら大丈夫か」
「それより志穂。着付けできるの? そっちの方が心配なんだけど」
「大丈夫だよ。動画見ながらやるから余裕余裕」
「そう言って去年遅刻したの忘れたでしょ?」
……そういえばそうだった。
「んーじゃあ私は私服で行こうかな。ぶっちゃけこんな感じの恰好の方が楽だし」
昔から浴衣を着るのがめんどくさいと思っていた。毎年愛海が口うるさく言うので仕方なく着ていたが、正直着なくてもいいならこのままがいい。
「それはダメ。半袖半パンサンダルは絶対ダメ。夏の三種の神器は私が許さない。志穂は気にしなくても私が気にする。というわけで今日早めに志穂の家行くからね」
「えーいいじゃん別にぃー」
「ダメダメ! そういうの大事だから!」と、こういうときの愛海は絶対に譲らない。逆らわない方がいいことは長い付き合いでよくわかっている。
「ほんっと、志穂は男の子だなー」
そう言うと愛海は「私の準備を予定よりも早く始めて志穂の家へ行くか――」と、ブツブツ言い始めた。
「そんなことよりもさ、今年は買い過ぎないように郁美に釘刺すの忘れないようにしようよ。あの過ちだけはもう繰り返したくない」
そう言うと愛海はハッとした顔をする。
「うん、確かに去年のアレは酷かった。おかげでしばらくは肉とか見るだけで胸やけがするようになっちゃったし。軽いトラウマだよ」
「でも本人はケロッとしてたのが凄かったよね。花火大会終わった翌日に今度四人で肉の日に焼肉いこーぜとか連絡してきたし」
「私らとは胃のつくりが違うんだろうね。あのときはさすがに真帆が怒ったから郁美も大人しくしてくれたけど、真帆がいなかったらどうなってたことか――」
私達は改めて真帆という存在の有難さを痛感した。
普段はニコニコスマイルだけで口数がやや少なめな彼女だが、みんなが沈んだときに雰囲気を明るくしてくれたり、郁美の暴走を止めに入ったりと、素晴らしいサポートを行ってくれている。
「――あのときは焼肉って聞いた瞬間、網の上で焼かれるカルビを想像しちゃって吐きそうになったな」と愛海。
「私は小皿のタレに、焼き上がった肉をつけるところを想像したな」
「え、そっち? 普通網の上に焼かれてるイメージだよね? こうジュージュー言いながら脂が滴ってくる感じの」
「いや、こっちが一般的なイメージだよ。愛海の方がマイナーだ」
「ほー。じゃあ他の人にも聞いてみるか? それで私と同じ人が多かったらジュースね」
「いいだろう。ジュースじゃなくてブルーハワイのかき氷奢ってやんよ」
「……ジュースでお願いします」
どうやらそっちのトラウマは継続しているようだ。
それから一度家に帰り、浴衣に着替えてから待ち合わせ場所である駅へと向かった。
私の着付けとメイクまで手伝ってくれた愛海が早めに行こうと提案したので、集合時間よりも早目に目的地へ着いた。まだ待ち合わせ時間まで20分近くある。
「今年は人多いな」
「ほんとだねー」
既に周囲には同じ目的で駅に来ている人達でごった返している。普段と違う恰好なのでわからないが、クラスメイトも何人か紛れ込んでいるだろう。
「あ、そうだ志穂。虫除けスプレー忘れてないよね?」
「持ってきたよ。殺虫剤も持ってきた」
「それはいらないでしょ」
そう言った愛海はキョロキョロと辺りを見回したり、スマホを何度も覗いたり、手鏡で髪型を何度もチェックしたりと、どうにも落ち着きがない。
「まだ時間あるんだから、そんなに焦らなくても大丈夫だよ」
「いや、だって急に緊張してきちゃってさ――ねぇ、今日の私どう?」
愛海は両腕を広げ、浴衣姿を見せて来る。
うーんと言いながら、上から下までを三段階に分けて見る。
去年と変わらないからどうと言われてもなぁ……。
明るめの青を基調とした花柄の浴衣。去年と同じやつ。髪も上に結い上げているのでいつもと違った雰囲気ではあるが、それも去年と同じ。残念ながら私にはいつも通りの愛海にしか見えない。
「――どう? どう?」と、愛海の期待に満ち溢れた瞳がチクチクと刺さる。
「……」
目を細め、まなみんの瞳を覗く。
キラキラと光る角膜。いや……もっと、もっと奥深くを覗いてみると、瞳孔の中心にこちらに銃を向ける愛海がいるのを確認した。
カワイイと言えと彼女の瞳が言っている。そういうカツアゲやめろ。
ヤレヤレと、それしか選ぶことが許されない選択肢を私は選ぶことにした。
「うん、カワイイよ。カワイイカワイイ」
自分でも棒読みだと思った。これでは怒られるかもしれん。
「よし! ならいいか! 軍資金も確保したし、準備は万端!」
どっからでも来いや! と、意気込む彼女は文句ひとつ言わない。どうやら緊張で余裕がなくなっているようだ。今まで綾とは何度も接してきているだろうに、どうしてもまだ緊張はあるようだ。
これがもし恋ではなかったとしたら、私や郁美や真帆を前にしているときのように普通に接しているのだろう。
そう思うと恋って不思議だ。
そうした気持ちを持つだけで、ここまで内容の違うやり取りへと変わってしまうのだから。
……まあ、まずはほぐしてやるか。
ここは日常会話でもして、少しでも緊張を和らげてあげようと思った。
「軍資金って、おばさんから臨時のお小遣いでも貰ったの?」
「違うよ。少し前に日雇いのバイトを何回かやってきた」
「……え?」
初耳である。
「え? ってなんだよ。私だってバイトぐらいできるわ」
「ごめん、なんか想像つかなくて。ち、ちなみに、その、な、なんのバイトしてきたの?」
「なんでそんな恐る恐る聞いてくるんだよ。本屋だよ本屋。お母さんの知り合いから頼まれて少しだけやってきたの」
「はえーまさかの本屋ですか」
親の肩叩きではなかった。
「そうなんだよ。本全然読まない私がまさかの本屋」
人生わかんないもんだよねと、大げさに言う。まだ人生知ったような経験してないだろうがと心の中でツッコム。
「なんで黙ってたの?」
「えーだって言ったら見に来そうだし。恥ずかしいからヤダ」
「私のとき見に来るじゃん」
「志穂の場合は終わった後でしょ? 仕事中に見られるのが恥ずかしいんだよ」
「そんな気にすることかなー」
「じゃあ志穂は配達中に私に後ろから原付で追っかけられて、配達終わるまでの間ずーっと見られるとしたらどう思う?」
「へい――きじゃない。嫌だ」
「でしょ?」
想像していたら実にシュールな光景だと思っていたところで「志穂―! 愛海―!」と、浴衣姿の郁美が手を振りながら現れた。隣には同じく浴衣姿のニコニコしている真帆がいる。
「早いじゃん。待ちきれなくて早めに来ちゃったのか?」
「違うよ。遅刻常習犯と一緒だから早めに来た方がいいと思ってさ」と、私を見る愛海。
「ああーなるほどな」と郁美は納得する。そして「なあ志穂――」と私に近づいて私の顔をジロジロと見つめてくる。
「ん? なんでい?」
「今日のメイク愛海に手伝ってもらったろ?」
「……だからなんでわかんのよ」
それから五分ほどして、綾と小野関さんも来た。みんな集合時間に間に合っているのがすごい。
うおおおお……。
綾を見た途端、そんな声が心の中で出た。口にも出していたかもしれない。
やはり綾の浴衣姿は一味違うと、おっさんみたいな感想が出て来る。
若者らしい感じの派手な柄じゃない。白い生地に流れるような水彩調の黒ライン。
実に大人びている。髪型もいつもと違うし、まるで漫画や絵本の世界から飛び出してきたかのようだ。
やっぱ違うわこの子……。
もっとうまい表現があるのかもしれないが語彙力のない私にはとにかく綺麗としか思い浮かばない。郁美と真帆も「うおー可愛いな」と素直な感想を口にしている。本当にその通りだと誰もが思っているだろう。
「――あ、ありがとう」と綾は少し困ったような照れ笑い。少し俯く姿が可愛らしい。この仕草だけで満点だ。
うんうんと頷いていた私はそこで気づく。やけに静かだったから。そして慌ててお隣を見ていかんと思った。
綾を見たまま、ぽけーっと固まっている。頬を紅く染め、誰がどう見ても見惚れているとわかるような顔。
慌てた私は彼女の右足を踏んで石化を解いてやった。
「あいったー!」と、うっかり小指に与えてしまったダメージに愛海はもがき苦しむ。
「どうした?」と、突然の声に驚いた顔をする小野関さん。
「いや……ごめん……なん、でも、ない」
目に涙を浮かべながら、愛海はなんとか激痛に耐え切った。
まずは会場近くの屋台に行こうと二列に並んで向かうことにした。
周囲にはわかりにくい私の粋な計らいで見事綾の隣を並んで歩くことができた愛海。その後ろは真帆と郁美で、最後は長身族である私と小野関さんとなった。
「――小野関さんって運動部かと思ってたよ」
小野関さんと一対一で並んで話すのは初めてだ。
彼女もまた普通にはない魅力がある。さきほど駅に綾と一緒に現れたときにも、私の目にはしっかりとこの人の魅力も見えていた。
光っているのは誰の目からみてもわかるその圧倒的なスタイル。私も背は高い方だが彼女の方が更に5センチくらい高いし足も細くて長い(おそらく私が勝っているのは胸だけだろう)。
綾とは小学生の頃からの付き合いだという彼女は、このメンバーの中では一番髪が短く、背の高さと少し日焼けした肌のおかげかどうしてもスポーツ少女に見えてしまう。
「よく言われる。でも中学時代は陸上やってたよ」
「結構早かったんだよなー」と、話を聞いていたのか前にいる郁美が言う。
「短距離?」
「うん。長距離は苦手」
「私も多分そっちだ。マラソン大会嫌いだし。あんなもんこの世から消えればいいのにって毎年思ってる」
「アハハ。そうなんだ」
以前購買部で会ったときは少ししか話したことがなかったせいか、今こうして並んで会話をしていると、予想とは違った彼女の表情が見れておもしろい。
ふと、先頭を歩く愛海の後ろ姿を見る。
ああーこれはマズいなと、遠目からみても思った。緊張で綾の顔をまともに見れていない。
お願いだからフリーズも暴走もしないでよ。
この位置からでは、愛海がおかしなアクションを起こしてもフォローには入りづらい。とはいえ、いきなり目の前の郁美と位置を入れ替えるとみんなからおかしいと思われる。
でも仕方ないかと腹を括る。もしヤツが変な行動に出たらなりふり構わず止めに入ろう。
そう決意した私はしっかり監視しといてやるかと、キラリと愛海の背中に目を光らせる。
そのせいか、愛海が背筋をゾクリと震わせていた。
それから先は何も問題はなく、屋台で散々食べて遊び、時間が迫って来たので会場へと向かった。
「さすがに今年は抑えたね」と、愛海が郁美に言う。
「去年お前らに迷惑掛けたからなー。私は反省したのだよ」
そう威張る郁美だが、おそらく事前に真帆から注意を受けたのだろう。今日の郁美は随分と大人しく思える。警戒は杞憂だったようだ。
大人しいと言えば――。
少し気になることがあると、真帆の方を見る。
今日は不気味なくらい大人しいな。
どういうわけか、今日の彼女はいつもより口数が少ない。ニコニコしてるから怒ってるわけではないと思う。真帆が怒るときはニコニコなんてしない。
そう。そこが引っかかっていた。
見てわかるぐらいのかなりの上機嫌。
これは真帆が趣味でやってるネット麻雀で国士無双でも出したか。それとも今年の夏ジャンボ宝くじに絶対の自信でもあるのだろうかと、いろんな予想を立てては彼女の横顔を見てしまう。
いや違う。なーんか妙だ。
聞いてみたい気分だが、真帆はおそらくあのニコニコフェイスで何でもないよと答えるだけだろう。彼女は宝くじが当たっても周囲には絶対バラさないタイプだ。
うーん……ダメだ。読めない。
結局このときの私はわからず仕舞いで、この違和感に関しては気のせいだと思うことで終わらせる。
そして後日、私と愛海はこの意味を知ることとなる。そして同時に自分達の脇の甘さを思い知らされるのであった。
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