第6話 寝れません


※寝れません



―――春。



出会いと別れの季節。


特に出会いは大切だ。

学校生活は最初でグループも決まる。


僕かい?

僕は宇宙ゴリラ女と同じグループさ。

いや、今はひとりぼっちか。


背負い投げという最悪のスタートダッシュを決めて、人生負け組コース一直線だよ。

トホホ。


死にたい。


とりあえず家に帰ろう。

居場所が欲しい。


などと、くだらない事を考えていたら家の前まで来た。考え事をしていたので、早く着いたように感じる。ふと、気持ちが声に出る。今の僕は本音が出てしまうのだ。



「そうだ、自然に帰ろう」


「その流れでその番組チョイスする?」


「…ぶらり途中下車の旅」


「それは人身事故よね」


「満天青空レストラン」


「もはや死後の世界にきこえるわ」



この鋭いようで鋭くないツッコミ。

メアだ。

鍵が無いので家に入れなかったようだ。

玄関の前に仁王立ちで待ち構え…、ジョジョ立ちだとッ!?


「ふふっ、前回のネタをまだ作者は引きずっているのよ!」


バァーン!!とかドギャーン!!とか背後に付きそうな顔をしている。しっかり帰り際に話していたジョルノの立ち方だ。


「今回は作者がしっかりと挿絵を描いたわ!」


胸を半分はだけさせるポーズなのだか、全然ドキッとしない。顔が、その、ね?


とりあえず無視して家に入る僕。


「ちょっと!なに無視してんのよ!」


あとから叫びつつ入ってくるメア。

こっち来んな。


ここからまた、あのドタバタが…と思っていたのだが、家では品行方正を演じているようで何事もなかった。母がメアの部屋を用意していた。僕の部屋よりも広いし。どういうことだねマイマザー。


ともかく、平和なのはいい事だ。家に帰ってから会話はほとんど無い。学校でも言うほど話してないが。


「べ、別にコミュ障じゃないんだからねっ!」


きもい。本当に思ったことがすぐ口に出る呪い?はめんどくさい。たまに自分でもびっくりする。


メアとはまったく喋っていなかった訳では無い。どちらかと言うとメアはマイマザーと話していた。



一応、お風呂の時は

「覗かないでよねッ!」

とかラブコメを意識して言ってきたのだが、まだあの顔だったので全然ドキッと(ry


夕食の時も

「はい、口開けて♡アーン♡」

とかやってきたのだか、

まだあの顔だったので(ry


夜。

「一緒に寝よっ?」

とか言ってきた。

自分の部屋で寝なと、一蹴してやった。

顔は元に戻っていた。


僕の夜は遅い。予習復習は必ずする。中学時代の癖が抜けないらしい。夜中の12時を回り、ようやくゲームのログボ周回。午前2時就寝。


「あー、寝るか」


ちょっと過ぎてしまった。午前2時半。

ピザ神のアラームをセットしてっと。


ガチャ


「寝るのが遅い!」


「ひいっ!メアさん?!」


メア様の突然の登場に、僕はご乱心。

あと1時間早かったらゴニョニョ中だった。

危ねぇ。


「うるさいわね、オナっててもいいから早く寝なさいよ。私の仕事が出来ないでしょ?」


「ちょっ!せっかく人が言葉を濁したのに!」


つーか、言葉に出していないはず、だよな?

すまんなゴニョニョ。

というか、


「仕事って、もしかしてアレっすか?そのーサキュバス的な?(ワクワク)」


「うるさい童貞」


「ヒエッ!」


何この人超怖い。新高1年生で卒業してる方が少ないって。そうだよな、男子諸君。


「では、何用でごさいますか…?」


『寝なさい』


あっ、これは催眠術の、や……
















―――――夢?



―――――ええ、夢よ。



―――――誰?



―――――忘れたの?もう…



「超絶可愛いメアちゃんよ!!」


「うわっ、悪夢じゃ…うぇ?」


目を開けるとメアと

と?


「なんだここ」


明らかに日本では無いどこか。いや、地球ですらないように感じる。ゴツゴツした岩が数多く転がっている。空は赤く、だが光源は空からではなく地面だ。地面が光ってこの世界が照らされている。ん?世界が光ってるから空が照らされてるのか?


ともかく地球じゃない。


「夢の世界へようこそ」


メアがそう言った。

どうやら今夜は寝れないらしいな。


※寝れています

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