第1話 ヒロちゃん

※ヒロちゃんです


ピピピ ピピピピ ピピピ ピザ ピザ...


バンッ


「うるせぇーい...」


毎朝起こしてくれる目覚まし時計、通称ピザ神をとめて、のそのそと起き上がる僕。


「学校だりー、でもなぁ......いくかぁ」


今は何時かとピザ神を見る。


「9時じゃん、遅刻じゃん!」


無情にも彼はしっかり腕を伸ばして僕に明らかに寝すぎだと主張してる。ピザで言えばクウォーターサイズ。

何故か準備されているバックに気にもとめず急いで家を出ようとする。部屋を出て、階段を滑るように降り、母親に朝食要らないと伝えるべくリビングに


「がっ、ヒロちゃん?!」


夢だったはずのヒロインちゃんが母親と楽しくおしゃべりしていた。


「ヒロちゃんていうなー!」


「アンタ、ヒロインさんに謝りなさい」


母親完全ヒロインちゃん側。完全劣勢。てか、頭おかしい。ヤバい、まじ語彙力が。

とにかく、この場から脱出&学校への逃走を図る。今だけ憎き学校に感謝やで。


「学校に感謝やでぇ!」


しまった!本心がダダ漏れなのか。玄関を開け放つと同時に関西弁で叫ぶ。もう、この地区からも脱出する必要もあるようだ。


「あ、ちょっと待ちなさいよ!」


「ひぃぃ!化け物がああぁ!」


「誰が化け物よ!だれが!こんなにも美少女なヒロインちゃんを化け物なんて!」


後ろから全速力で、ナルシスト化け物(ヒロインちゃん)が迫って来る。速い。僕、一応陸部だったのに、もう肩を捕まれあああ!


「何一人で学校行こうとしてんのよ!ほら、一緒にいくわよ!」


「ごめんなさいごめんなさい命だけは——


——へ?」


「だ・か・ら!一緒に登校してあげるって言ってんの!ほら土下座してないでいくよ!」


相変わらず"!"は多いが、どうやら命は取らないらしい。そもそも何故こいつが現実にいるんだ。夢だったはずじゃないのか?


「なによ、ほおけちゃって。あんたは今から学校行って、この私を転校生って紹介するのよ。いわゆるラブコメってやつよ!」


ヒロインちゃんは力説してるが僕は


「わけわかめ」


「...いや、ちょっと王道からは外れてるけども。わけわかめって。ほ、本当は空から降ってきたり?曲がり角でぶつかってとかしたかったわよ!でも、上司がね」


「ちょっと何言ってるか分かんない(渋声)」


「いや、わかんないじゃねぇよ(渋声)」


結構ヒロインちゃんはノリがいいらしい。しっかりと対応してくる。日本の事を勉強して来ているのは本当らしい。ちょっと知識偏ってるけど。(サ○ドウィッチマンさんごめんなさい)


「とにかくいくの!あ、あんた女子の制服の写真持ってない?着替えるわ」


「あいにく僕は変態じゃないんだ」


「集合写真くらいもってるでしょう?」


「この春始まったばっかであるわけないよ」


えー、としかめっ面のヒロインちゃん。序章でも書いたがまだ入ったばかりである。制服はおろか、顔だってあまり知らないし、名前なんて論外だ。あ、


「着替えは興味あるわ」


「三(((((´ω`;)スススー」


本心が出てしまった。変態じゃないのに...男子高校生諸君には分かるよな?この青春の昂りというか、迸る劣情というか、ね?

ヒロインちゃんには引かれてしまったが、僕もそのひらひらした異世界服でしょうがないこのまま学校に行くかと呟くあなたに引いてますよって、ここは声に出ないらしい。


「と、ここまで考えたけど家の鍵閉めるって名目で逃げてイイっすか?」


「急に冷静にならないで!私は学校何処かわかんないんだから連れていくのがあんたの義務でしょ!ま、まさか!このか弱い私を置いて何処か去ってしまうの!?」


「うぜえ」


やだ、奥さん超うざいわあの子

やーねー、最近の子は


くっ!

脳内井戸端会議が始まってしまった!


家帰っても母親、ヒロちゃんの味方なんですって!

あら!じゃあ警察かしら

事を大きくしたくないらしいわよ

あららー!良くないわねぇ!

......

......



「...学校しか、ないな」


「そうと決まればさっさといくわよ!いつまでも土下座してないで!」


「おいこら、僕がずっと土下座してたみたいに言うな」


「ふふ、読者には私のセリフをしんじるしかないのよ!だってアニメじゃあるまいし?挿絵なんてものもないし?」


『 挿絵描いたろか(By作者)』


「やめなさい!あんたの絵なんて誰も興味ないわ!描くなら私を綺麗に描きなさい!」


ヒロインちゃんは途中から空中と喋っていたが一体何者なんだ...。ヒロインちゃんって名前安直だし、確か...


「ヒロちゃんって夢の国から来たんだっけ」


「ヒロちゃんいうな!あと夢の国はディ○二ーよ!夢の世界から来たの!」


「つーかヒロちゃんって名前ダサくない?」


「あんたがつけたんでしょーが!なんなの?!なら、新しく付けてよ」


おっと、この展開は予想してなかった。僕のネーミングセンスが試されるようだ。値踏みするようなヒロインちゃんの視線が痛い。


「えー、ミッキーマ○ス」


「夢の国じゃない!」


「御坂○琴」


「ダメ!いろんなひとに怒られるわ!」


「じゃ、メアリー」


「...え、意外と普通にあり、かも。いや、まって。壁に耳あり障子に?」


「メアリー」


「だめよ、ならメアにしなさい」


そこ気にするとこかな、と思いつつヒロちゃんよりましか。と結論。


「メア、行くぞ」


「そーいえば、あんたの名前は?」


「......知らなくていいよ」


※ヒロちゃんじゃないです

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