短編 夢オチ

リッキー

序章

※夢オチです。


夢を見た。小学生らしき女の子に追いかけられていた。

「他に言うことがあるでしょ!」

って叫びながら手に持っていた赤いマーカーを振り回しながら僕を追いかけて来ていた。その後、視界が暗転して、

『 朝になりました。今夜の犠牲者は...』

というテロップが流れ、惨めな死体となって森に転がっている自分が映った。


目が覚めた。


自分の死体を夢であっても見てしまった恐怖に少し鼓動がはやい。これはあれだ、昨日の夜にした人狼ゲームの影響だ。


「もう少し特徴のある夢だったら話のネタに出来たんだけどな」


と、あくび混じりに呟く。


「何でしょうもない夢みてんの?」


少女A登場!

コマンド

たたかう

にげる

つうほう←


...いや、ごめん、僕も混乱してるんだ。もしかしたらまだ夢なのかもしれない


「前置き長い小説は嫌われるわよ?」


少女Aがため息混じりに言ってくる。


「...!?だ、誰だよ!あんた!」


「ふふん!やっと聞いてくれたわね!私は夢の世界から来た妖精...


——ヒロインちゃんよ!!!」


仰々しくふんぞり返って自己紹介するヒロインちゃん。いろいろツッコミどころがあるがとりあえず、


「通報していいですか?」


「通報!?ダメに決まってるでしょ!ていうか、あんたも早く自己紹介しなさいよ!」


と、分かりやすく焦り出す。


「"!"が多い女だな... 僕はこの春から近くの公立高校に通っている1年だよ」


「名前は!」


「不審者に言えるかよ」


正論しか言ってないのに、駄目だこいつ話通じないわー的な感じで外人のように首を振るヒロインちゃん。


「前置き長くなっても良くないから単刀直入に言うわ、私は!あなたを!本心しか言えない体にしました!いい?私はあなたのために夢の世界からこの日本を勉強してから来たのよ?!それなのに名前すら名乗らないなんて...!日本男児として......」


話が長そうなので、学校に行く準備がてらちゃんとした自己紹介をしよう。


高校1年生男子だ。親も健在で、社会人の兄がいる。悪の組織に狙われてないし、超能力者でも無いただの凡人。......だったはずだ。強いて書くなら、MAP後遺症という記憶障害の1種で中二から中三の1年間の記憶が無いことぐらい。名前は、いいだろう。


「って、ちょっと!聞いてる?!」


「いや、現実逃避はやめよう」


「ふっ、やっと聞く気になったようね!私は夢の「おかーさーん!」ちょ、やめなさい!」


何ー?、と間の抜けた母親の声を聞いて安心していると、


「この美少女を前にしてお母さん呼ぶとか神経疑うわよ!」


と、大声でナルシスト発言をかますヒロインちゃん。確かに傍目から見ても美人だ。長い金髪はポニーテールでかわいく纏められ、服装も異世界の露出の多いひらひらとした服で、背中には羽状の葉っぱみたいなのがついてる。


「うるさいよヒロちゃん」


「いきなりフランクね、なにヒロちゃんて」


「ヒロインちゃんじゃ長いでしょ。だから短くしてヒロちゃん」


「...そうね、早速効果が出てるみたいじゃない((^言^))」


顔を引き攣らせて呟くヒロインちゃん。確かに何か言っていた気がするが、効果?何か違和感はさっきというか起きてからあったがその正体は掴めずにいた。

ここで呼んでいた母親が登場。僕は部屋のドアを開けてやった。バッチリとヒロインちゃんとマイマザーの目が合う。「...おはようございます(ニコッ)」とヒロインちゃん。一方母親は放心状態。

母親が再起動する前に、


『おやすみなさい』


と、ヒロインちゃんが囁いたと思うやいなや母親は膝から崩れ落ちた。

今度は僕が放心状態。


「なにが、おきてるんだ」


「どう?これで分かったでしょ、夢の世界からこの美少女が来たんだって。あと、今のあんたは本心ダダ漏れなの」


視界の片隅でヒロインちゃんが何か喋っている。僕は未だに倒れた母親から目を離すことが出来ていない。


「夢オチかな」


なんて口から漏れる。本当に本音がダダ漏れだ。息が、苦しくて、視界が——


※夢オチじゃないです







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