第2話 謎のお茶

 まだ、贔屓にしている紅茶専門店を見つける前のこと。


 美味しい紅茶を探し「東奔西走」していた私は、一軒のティーハウスを見つけました。かなり大規模な店で、内装や食事にも力を入れていました。


 店員とお茶の話をしていると、そんなにお茶が好きならという事で、あるお茶を紹介されました。


店員「アールグレイって知ってますよね?」


作者「ええ、それは」


店員「あれは、このお茶を元にグレイさんというイギリス人が作ったらしいですよ」


 当時アールグレイが嫌いでなかった私は、俄然興味を持ちました。

 ただ、店員がまるで自分で見てきたかのように話したのが、どうも胡散

 というより、紹介された、そのお茶葉に鼻を近づけると、やけに

 その強烈な香りは何かの香りに似ていました。


 騙されたと思いましたが、とりあえず買ってます。

 そのお茶はやけに高かったんです。うろ覚えですが、百グラム千五百円以上したと思います。


 家に帰った私は、さっそくお茶を淹れてみました。

 茶葉そのものは臭いけれど、お茶にすると美味しいんだろうか。

 カップに注ぎ、香りを確かめます。


「臭っ!」


 ナニコレ?

 葉っぱの時より、臭さが増幅されてない?

 しかも、この臭いは、紛れもなく『正〇丸』

 そう、お腹が痛いときに飲むお薬、パッパカパッパーのラッパでおなじみのあれだ。

 異論は認めない。

 これが『正〇丸』でなくして、何が『正〇丸』だ!


 一口飲んでみる。


「ふっふぁ~!」(臭っさ~) 


 失礼、鼻を摘まんでいるから、こんな声に。

 やっぱり、味も『正〇丸』そのもの!

 なんじゃこりゃ!?


 言っておきますが、子供の頃から何度も窮地を救ってもらった正〇丸を悪く言うつもりはまったくありません。お茶だと思って嗅ぐから臭いのです。


 そのお茶の名は「ラプサンスーチョン」

 お茶の世界がいかに広いか教えられた出来事でした。


 ちなみに、このお茶、毎日飲んでいると、ちょっと癖になる事が判明。これはあれですか? クサヤとか、シュールストレミング系のものですかね。

 後に調べると、このお茶、紅茶専門店で売ってたけれど、中国茶らしいのです。

 

 私の茶棚にこのお茶が並ぶことは二度とありませんでした。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る