二十七章

 ロウソクのれる光が眉間みけんに寄せたしわをいっそう深く見せ、伯爵が書斎で頭を抱えている。ジョンスミスばりにひたいに手を当てて頭痛に悩む仕草をしているが、さすがは本家、様になっている。

「どうしました、マイロード。悩み事ですか」

「ああ修道士殿か、気が付かなくてすまない。実はリチャード陛下からの手紙が……、これがまた頭の痛む内容でな」

机の上に山のように積まれた羊皮紙と巻物の間から途方とほうに暮れた顔を覗かせている。貴族というとかっこいいよろいを着て馬で戦場を駆け回ってるだけだと思っているんだとしたら大きな誤解だ。実際はこういう事務仕事に追われる毎日なのだ。

「国事にかかわるようなことですか」

宮廷の政治には関わらんほうがいいのだが、俺はなんとなく好奇心からいてみたくなった。

「そういうわけでもないんだが、いや、まあ関係なくもないというか」

「なるほど」

なにがなるほどなのだか分からんが、俺はただニコニコと黙ったまま伯爵が自ら秘密をらすのを待っている。軽くため息をついて、

「王領に所有が曖昧あいまいになった領地があってな。曖昧あいまいというか、相続する権利を持った人物がようやく見つかったのだが、正式にはまだ成人してないので後見人こうけんにんが遺産の管理をやっている」

「ふむふむ」

「この後見人こうけんにんというやつが、相続人の婚約権を売りたいと申し出てていてな」

「婚約権ってことは、その相続人は女の子ですか」

「そうだ。貴族の親が他界して遺産を相続すると、成人するまでは後見人こうけんにんが面倒を見ることになっているのだ。そのかわり土地から得られる収入は後見人こうけんにんに受け取る権利がある」

なんというピンはねだ。俺も誰かの後見人こうけんにんになりたいわ、という顔をすると伯爵はニヤリと笑い、

「身内に身寄りのない跡継あとつぎがいれば修道士殿でも後見人こうけんにんになれる。大きな修道院の院長クラスになれば被後見人ひこうけんにんの一人や二人はいるものだ」

自分はじっと座ってて農地の上がりだけ全部もらってるんでしょう。俺が言うのも何ですが、それって坊主丸儲ぼうずまるもうけじゃないですか。

「で、問題というのは?」

「ああ、手紙によると、婚約権を買いたいというやから、いや貴族の子弟が一ダースほど現れて収集がつかなくなって困っているんだそうだ」

「物好きというか、金を持て余してるというか」

「その娘は爵位をいでいて、農地の年収だけで四十シリングもあるから引く手数多あまたなのだな。婚約権を転売することもできるわけで、ときとして結婚はもうけ話にもなる」

「それこそあれですよ、国王裁判所に任せればいいんじゃないですか?」

「ところがそうもいかんのだ。そのりに参加しているのがリチャード陛下でな。商取引を王が自らかかわる裁判に持ち込むのはどう考えても不公平だと、入札参加者の間からブーイングが出た。そこで私に裁定を頼めないかというわけだが」

「なるほどー、王様自らオークションに入札してるとは。そりゃ頭痛の種だ」

王様は御年おんとし三十六歳のおっさんだが、いちおう独身だ。ほんとに結婚するつもりがあるのかどうかはあやしいが。

「その競売、いや話し合いが明日あるんだが。司会を頼まれている以上は出席しないわけにはいかんだろうな」

「その女の子って何歳なんですか?」

「十四歳だ」

「じゅ、十四歳ですって!?正気なのアナタ!」

背中から突然怒鳴られて二人とも飛び上がった。立ち聞きしてたらしい朝比奈さんが部屋の間仕切まじきりの影からすごい形相ぎょうそうをして顔を覗かせた。

「ま、マイレディ、いらしたんですか」

俺と伯爵は突如とつじょ現れたレディに心臓が飛び出さんばかりにして椅子から立ち上がった。朝比奈さんの髪の毛が何本か逆立っている。

「マイロード、十四歳の女の子を人身売買じんしんばいばいする気ですか!!」

「ま、マイレディこれは人身売買じんしんばいばいではなくてだなあ」

並んでまあまあとヘラヘラ笑いをしつつなだめに入る二人である。

「キョンくんも何ですか、あなたいつもはモラルのかたまりみたいな顔をしてるのに、この暴挙ぼうきょをなんとも思わないの?」

も、モラルのかたまりっていったいどんな面構つらがまえなのでしょうか。

「朝比奈さ、いえマイレディ、この時代にはこういう風習が定着しててですね。昔からよく言うでしょ、郷に入りてはよきにはからえWhen in Rome, do as the Roman would do、と」

「微妙に違う気もするが修道士殿、そうなのだマイレディ。別に彼女をさげすんでいるわけではなく、貴重な権利付き商品として手厚く扱っている」

「しょ、商品だなんて、もういいです! この件は私にお任せください」

 ミクル・オブ・アサヒナは愚直ぐちょくな女であった。ひたいに青筋を浮かび上がらせ、いそいそと出かけていった。行った先はウエストミンスター宮殿。首根っこを掴まれた猫のような俺と伯爵は留守番を命じられたので、その場の様子は後になって聞いた話である。


「話は聞かせてもらいました!」

問答無用でふすまを開け放つおさむらいさんよろしく、衛兵が止めるのも聞かず朝比奈さんがズカズカと王宮に乗り込んできた。

「これはこれはレディ・イザベラ・オブ・アングレームじゃないの。随分とひさしぶりだね、聞くところによるとおめでただそうじゃん」

「ええそろそろ三ヶ月に……、そんなことはどうでもよろしいのですよ陛下!」

固い床と壁にワンワンと響き渡る朝比奈さんの声に、そこにいる全員がたじろいだ。ビシ指で刺されたその先に、大きな丸いテーブルにましますのは、爺さんから若いあんちゃんに至るまで、精一杯着飾って瀟洒しょうしゃな身なりをした貴族とその身内の人たちらしい。

「もしかしてレディアングレームも入札したいのかな。今からだと呼び百ポンドだよ」

「そんなわけないでしょう。私は夫の代理でこの会合を切り捨てに、いえ、裁定に来たのです」

「えと、激オコなのは分かるんだけど、どういうことなの」

「紳士の皆さん、全員そこに座りなさい」

「さっきから座ってるけど……」

「弱きを助ける騎士道の誓いを立てた皆さんが十四歳の女の子を売り買いするなど、いったいどういうことですか。聞けばその子は両親を失い、今まさに途方にくれている身の上ではありませんか」

「い、いやあのね、僕たちは身寄りのない女の子を助けてあげようと思ってだね」

「身寄りのない大金を持たされた女の子を、でしょう陛下。その子の人生はいったいいくらなんですか。皆さんはご自分の私腹をやすためにここに来ているとしか思えません。あなた方に、他人の人生の値段を付ける資格がおありになって?」

この中でいちばんの長老らしいご老体が椅子から立ち上がって、

「どこのどなたか知らんが、お若いお嬢さんがつべこべと申すものではない。あんたは知らんだろうが、ここにおわす方々は皆高貴な家の出で、」

「あなたのことは存じています、修道院院長。清貧せいひん貞節ていせつの誓いを立てた身分にありながら十四歳の女の子が欲しいとおっしゃるのですか。どんなロリコン教徒ですか」

「ロリ……わ、わしゃ女が欲しいわけじゃないわい、願わくば神の御心により修道院にささやかな寄付をじゃなあ、」

「黙りなさいこのハ……、院長殿Father。その寄付とやらがあなたのふところに入ることは神様もご存じです」

今ハゲって言いかけたぞ、ハゲって言いそうになったぞヲイ。朝比奈さんの気迫に押されたのか院長の爺さんは椅子に座り込み、

「はい……マリア様」

フードを深く被ってぶつぶつと贖罪しょくざいの祈りをとなえている。王様は朝比奈さんの登場で一変したその場の雰囲気をなんとかなごませようと、壊れそうな作り笑いをしつつ、

「れ、レディ・アングレーム、これは昔からやっている慣習かんしゅうなんだよねえ」

「ならばその慣習かんしゅうを変えようとはお考えになりませんか」

「今から慣習かんしゅうを変えるのはちょっと……いろんなところで問題が。ねえ、みんな」

皆は軽くうなずくフリをしたり互いに眼と眼を合わせたりしているが、手を挙げて賛同の意を表す者は一人もいない。

「リチャード陛下。あなたはイングランドの王なのです。あなたが一言言えば皆それに従うのです。それを使わずしていったい何のための王冠でしょうか」

「あ、あの……なんというか。ごめんなさい」

「ひとりの娘の人生を値付けするなど言語道断ごんごどうだんです。神様にでもなったおつもりですか。貴族ともあろうお方が、あなた方全員、恥を知りなさい」

口あんぐりの衛兵をよそ目に、暇乞いとまごいもせずそのままズカズカと出ていった。その場にいた高貴な方々はうつむいてそれ以上何も言えなかったそうだ。これが後世に伝えられている、〈朝比奈みくるの恥を知りなさい事件・その〉である。


「いやー、あのときのレディ・アングレームの神々こうごうしい姿を見せたかったよ。このカモシカの丸焼きうまいねハグハグ」

この話を伯爵、俺、長門、古泉の四人が笑い渋面じゅうめんを作りながら直接王様から聞いた。っていうかなんでこっそり飯食いに来てんの王様。

「陛下、妻がとんだご無礼を」

「いやいや、しょうがないよ。ボクたちも金になりゃなんでも売るみたいなところがあるしね。んむんむ、このライチョウの照り焼きはイッピンだ」

おっさんそれ天然記念物やから。

「それで、その子はどうなるんですか」

後見人こうけんにんがお金に困ってるんで、しばらくは女子修道院で暮らすしかないんじゃないかな。大陸のイケメン金持ちが落札するところだったのにおしかったよ。両家の資産をあわせれば四百ポンドにはなったのに、ああもったいない。ところでこのオオサンショウウオのパイお持ち帰りしてもいいかなあ?」

イケメンの、というところで長門の耳がピクと動いた。俺の耳元でぼそぼそとささやき、

「……修道士殿」

「なんだ改まって」

「十四歳という年齢はそれほど法外ではない」

「どゆことですか錬金術師殿」

「……一般に貴族の女性は十歳を過ぎると家同士の契約で婚約する。十六歳ですでに子沢山こだくさんという夫人も多い」

「まあ平均寿命三十六歳の世界ではそういうもんかもしれんな」

「……今回の件で既定事項が破れた」

「イケメンと結婚するのが既定だったってことか」

「……そう」

なんとまあ、運命とはいたずら好きであることよのう。オークションにかけられて不幸な身の上かと思ってたら福引で一等賞の玉の輿こしじゃないか。シヤワセのチャンスをみすみす逃しちまったってわけか。


 この事実を知らされた朝比奈さんは顔をおおって、

「やだ……わたしったらとんでもないドジを……どうしましょう」

「いいんじゃないですか。一人くらい逃しても白馬の王子様は一ダースいるわけだし」

俺が精一杯皮肉ってみせると的を直撃したようで、

「もうキョンくんまで。そんなつもりじゃなかったのにわたし、ごめんなさいごめんなさい」

髪をブンブンとふり回して謝る朝比奈さんである。俺に謝られても困ります。

「まあまあマイレディ、良かれと思ってなさったことですから」

古泉がなだめてみせるが、朝比奈さんの顔は青くなったり赤くなったり紫色になったり目まぐるしく変化した挙句、突然キリっとした顔つきで、

「この縁談、わたしが仕切らせていただきます」

どうやったらその結論に至るんですかマイレディ、という皆の視線をプツプツと背中に刺されながらまたもや王宮に出かけていった。いやー、結婚して落ち着いたと思ったのにまた誰かに似てきたわ。


 王様に会いに行った朝比奈さんはというと四日目にやっと帰ってきた。正式な手順で面会を求め謁見えっけんしてもらうまでに三日かかったそうだ。貴族だから順番待ちを特別に免除してもらえると言われたのだが一般庶民に混じって順番を待ち続けたらしい。

「皆さんの前で平謝ひらあやまりで、もう恥ずかしいったらなかったわ」

「王様怒ってましたか」

「陛下はああいうお方だから、笑ってゆるしてくださったけど。入札の参加費を全額返さなくてはならなかったそうよ」

やれやれ参加費まで取ってたのか。自分の葬式のチケットも先行予約で売ってしまいそうな勢いだな。

「だが、どうなさるおつもりかマイレディ。ご自分で仕切る、とは」

伯爵も笑うしかないようだ。朝比奈さんのこういうところにれた弱みか、終始苦笑いである。

「陛下にはお許しいただいたのですけど、マイロード、あの子の結婚が決まるまでうちで面倒見てもいいかしら」

「そりゃまあ、私は構わんが」

朝比奈さんは部屋のドアをふり返り、

「ロードシップにお許しいただいたわ。お入りなさい」

なんだもう連れてきてんのか。事後承諾じごしょうだくにもほどがある。

「ジャンくーん、いいところに住んでるねぇ。置いてくれてありがとー」

じゃ、ジャンくん? なんだこの懐かしい響きは。俺は翻訳ナノマシンがおかしくなったのかと耳の中をかっぽした。

「お嬢さん、高貴なお方に呼びかけるときはマイロードと付けるのよ」

「わかったぁ、ありがとう、まいろーど。あれーこんなところにお坊さんがいるよー」

お坊さんじゃない修道士だから。ハサミ貸してといわれても持ってないからな。古泉と長門を伺ってみるとなんとなくノスタルジーを感じているようである。

「朝比奈さん大丈夫ですか。こんなのが嫁さんになったらご主人が大変じゃないですか」

「あたしのことこんなのとか言ってる、感じわるーい」

「なんたって十四歳だし、だからここで花嫁修業をして、仕込んであげようと思うの」

新婚のあなたが花嫁修業と言ってもあんまり説得力ないですが。伯爵はうんうんとうなずきながら、

「それはいい案だな。ここは城の切り盛りを習うのにはちょうどいい」

「でしょう。それに騎士さんたちは立派な方々だし、適齢期てきれいきでしょう」

「ま、マイレディ、うちの騎士から婿むこ探しをするつもりなのか」

「そうですけど、問題あるかしら」

「そうなると婿むこ殿はお嬢さんの爵位をぐことになるだろうから、うちで騎士として仕えるのは難しくなるな」

「あら」

朝比奈さんはテヘペロとしておでこをペンと叩いた。この人も後先あとさき考えないお方だ。

「まあそのときはそのときで、うちとの同盟が生まれるのは悪い話じゃないが」

「そ、そうですよね。家族が増えるようなものですよね」

「そういうことだそうだ。コイズミ殿」

はたで聞いていた古泉が突然話題を振られて、えボクですか? みたいに目を見開いて自分を指差している。

「僕に婿むこ探しをご命令で?」

「いやいや、むしろ婿候補むここうほにどうかな、と」

あーあ、そういうことか、という感じに今やっと理解した模様である。

「ぼ、僕はその……僕よりずっと功績のある先輩方がいらっしゃいますし……」

「どうかなお嬢さん、この紳士は今を時めく売出し中の騎士だ。年齢的にもちょうどいいのではないかな」

「ステキ……」

お嬢さんとやらはイケメンには目がないらしく、キラキラした目で古泉を見つめている。古泉のほうは珍しく口ごもっている。

「い、いえ僕などはその……つい先日従臣じゅうしんしたばかりの身分ですから」

「コイズミ殿、結婚したら王宮にお抱えの身分だ、申し分あるまい」

伯爵はどうやら本気で仲を取り持とうとしているらしい。古泉があんまり煮え切らないこたえをするので、俺は助け舟を出すつもりで口を挟んだ。

「おい古泉、ここで白黒つけとかないとお嬢さんも困るだろ」

「そうですね。ご本人の前で申し訳ないのですが、僕は故郷に想っている方がいましてね」

「なんとコイズミ殿、そうだったのか」

古泉が照れ笑いをしながらスイマセンと頭をいていると、部屋のドアが開き、良すぎるタイミングでご本尊ほんぞんが入ってきた。

「え、なに? 皆そろって何の秘密会議なの?」

「ちょうどいいところへ、ミス・スズミヤ。こちらは男爵の娘さんでしばらくうちに滞在することになった。以後お見知りおきを」

なんだってエエェこいつ男爵だったのか。俺がみすぼらしいジャガイモみたいな坊主なのに、この、これ、こんなのが男爵だとは。

「へー、あれね、女なのに男爵ってやつね」

その撞着どうちゃく的呼称はたぶん英語では通じないと思うぞ。ハルヒはちまっとスカートのすそつかんで柄にもない社交的あいさつをしている。

「レディミクルが婿むこ探しをしてくださるそうでな」

「乗ったわ、その話! 縁談話はあたしに任せときなさいI'm a visionaly on that!」

ハルヒにかかればどんな動かないものも動かしてみせるが、それがいいことなのか悪いことなのか、どっちに転ぶにしても七転八倒はまぬがれまい、という思いが朝比奈さんの頭の中を駆け巡っているらしく冷や汗を垂らしながら細く笑っている。

「ありがとう涼宮さん。縁談なんてまとめたことがないから、どうすればいいかしら」

あなた自分が取り仕切ると豪語ごうごしてたのにそれですか。

「とりあえず候補者リストを出しなさいね。まずは書類選考からよ」


 みたいな感じで、一方的な結婚斡旋あっせん業者まがいのプロファイリングから婿むこさん探しがはじまったのである。俺が騎士さん達に内々うちうちに打診して回ったところ、皆一様いちように首を横にブンブンと振る始末だった。なぜかと問えば朝比奈さんに仕込まれた娘で、あまつさえハルヒの厳しい審査にはとても耐えられる心臓を持ち合わせていないとのことだ。まあおしゅうとめが二人もいちゃしょうがないか。

「まず大前提としてお金よね。農地で十バーケード以上は必須だわ。あと代々続く家柄じゃないとね」

「おいハルヒ、金で結婚させる気かよ。騎士さん達が全員尻込みしてんじゃねーか」

「おねーちゃーん、このお坊さん怖い」

「気にしないの。一生結婚できない修道士が嫉妬しっとしてるだけだから。それで妹ちゃん、どんなタイプが好みなの?」

なぜか呼称が妹ちゃんになっちまってるぜおい。翻訳ナノマシンもそろそろ限界か。

 妹男爵は婿むこ候補がプロファイルされた羊皮紙の束をパラパラとめくりながら、

「んーっとね、イケメンで、ハンサムで、マスクの整った凛々りりしい人。あと、あんまりひげが生えてないほうがいい」

お前は顔しかないんかい。ってこいつ、古フランス語がふつーに読めるのな、ああ忌々いまいましい。

「オッケー、男はやっぱり顔よね。死ぬまで付きわなきゃいけないと考えたら当然よ」

お前ね、それを男の側が言ったら女性蔑視べっしだなんだとフェミニストに叩かれるんだぞ。

「男の顔なんて、三十過ぎたら皆同じだろ」

「ちょっとそこの暇そうな修道士、今からあたしがいうことを羊皮紙にメモしなさい」


── 我がSOS騎士団は、最近領地を相続した爵位持ちのお嬢さん(十四歳)の婿むこ候補を広く募集します。対象は年齢二十四歳以下、身長六十八インチ程度、既往症なく太っていないこと、婚歴なし。なにがしかの爵位をお持ちの方、または親族に爵位持ちがいる方は優遇します。これは婚約権の売買ではありません。花嫁による厳正なる審査の上、当選者には結婚契約書に署名しょめいしてもらいます。手付金てつけきん持参にて、我こそはと思わん高貴なる紳士はきそってご応募ください。


どこが厳正なる審査なんだか、金持ち独身イケメンあさりの魂胆こんたんが見え見えじゃないか。手付金てつけきんってどう見てもキャンセル払い戻しなしのエントリー料だろ。やってることがオークションとあんまり変わらん気がするのだが。

 ところが、この文面を王様に送りつけた結果、続々とロリ、もとい物好きから縁談申し込みの手紙が押し寄せるようになった。

「キタワー!!エントリーナンバー一番、十九歳、スコットランドの王子様」

「まじかヲイ」

「の、すえの弟」

「なーんだ、売れ残りかよ」

「失敬ね、王太子おうたいしが死んだら継承できるでしょ」

お前まさか物騒ぶっそうなこと考えてないですよね。

「わーいタイシ様ってえ、王様になる人? かっこいい人?」

「妹ちゃん、太子じゃなくてただの王子様よ。かっこいいかどうかはわかんないけど、お金だったらけっこう持ってるらしいわ。資産価値はAAランクプラスね」

「わーい。お金大好きぃ」

終わりや。スコットランドの未来はもうあかん。

「AAランクって、スコットランド貴族全員の資産を調べでもしたのか」

「おうよ。スコットランドどころかヨーロッパ中の貴族を隅から隅まで調べてあるわ」

どこにそんな諜報ちょうほうまがいの機関があるんだ、MI5かモサドか。ハルヒは本棚にしてある何本もの羊皮紙の巻物をグルグルと広げて、

「あたしの見立てでは、本命はこのフリードリヒ一世の孫娘の嫁ぎ先の長男ってやつね。資産もよし、家柄もよし、見てくれもよし、それが神聖ローマクオリティ」

「すごーい、それ欲しい、すごくほしーい」

「おーいハルヒ、そういう天は三物さんぶつを与えたもうたみたいな完璧なやつはどこか歪んでると思うぞ。昔の人はいいこと言ったろ、割れ鍋に閉じぶたってな」

「最初から割れた鍋を選んでどうすんのよ。最高の料理は絢爛けんらんたる豪華な鍋に盛り付けなくてはだめよ」

「そうだよお坊さん、お金があれば鍋なんていくらでも買えるよー」

だめだこいつ、早くなんとかしないと。


 ハルヒの言う厳正なる抽選、いや審査がどういうものかというと、一人ずつ城に呼びつけて徹底的てっていてきに取り調べることらしい。大勢の下僕げぼくを従え、数々のみつぎの品をたずさえて、王子様、もとい兄貴に王冠をうばわれたすえの弟がやってきた。

「これはこれは殿下Your Highness、遠くからようこそ」

スコットランドの王子様の弟はまだ騎士身分だが、いちおう公爵予定の王族なのでこの敬称である。滅多めったに貴族の客に出会えない俺達は、好奇心のかたまりをさらけ出して玄関前に横一列に並んでのおむかえだ。

「ロード・スマイト、それからレディ。お嬢さんの騎士、ここに参上いたしました。愛のためなら月にでも行ってみせます」

「殿下、ようこそいらっしゃいました。こちらが花婿はなむこ募集中のお嬢さんです。よろしく」

王子様の弟はうやうやしく妹男爵の手を取って口をつける礼をした。

「うるわしいお嬢様、あなたの愛を射止められるならたとえ龍の住む穴にでも飛び込んでみせます」

「か、かっこいい弟様……」

目ン玉キラキラしてるがブラコンかよおい。かっこいいなどと、妹を持ちながらそんな言葉はついぞ聞いたことがない俺である。べ、別に嫉妬しっとなんかしてないからな。

「長旅でお疲れでしょう、客室へどうぞ」

「かたじけない」

弟ちゃんが従者を連れて中へ入ろうとすると後ろから大声で呼び止める者あり。

「ちょーっと待ちなさい!」

「ハルヒ、相手は国賓こくひんクラスなんだからお前は引っ込んでなさい」

「国賓でもジリ貧でも関係ないわ、このあと面接のスケジュールが押してるのよ。たった今から試験を開始するわよ」

スケジュールなど聞いてないし客は弟くんだけのはずだが。

「試験ってなんだ」

「妹ちゃんの旦那様にふさわしいかどうかをテストするに決まってんじゃないの。すでに試験官がスタンバってるんだから」

ビシ指の指差す方向を見ると古泉がよろいを着込んでしゃっちょこばっている。カブトの下はいつもの困った顔で笑っているに違いない。

「テストってお前、まさか剣術試合とか馬上槍ばじょうやり試合とかやらせる気じゃあるまいな」

「そんな物騒ぶっそうなマネさせないわよ。まずはアレよ」

古泉の足元には長いベンチが置いてあるだけである。

「なんだありゃ」

台昇降だいしょうこうに決まってんじゃないの!」

ネタがレアすぎて恐縮きょうしゅくだが、踏み台昇降ってのは椅子の昇り降りを三分間やって脈拍数みゃくはくすうを測るものである。踏み台昇降が何なのかは分からずとも、段々ハルヒという人間がどういうやつか分かってきたらしい伯爵は眉間みけんに手を当てて、

「み、ミス・スズミヤ、ロードシップはお疲れのご様子なのだが……」

「いえいえロード・スマイト、是非やらせてください。私は試練を受けるためにここに来たのですから」

弟くんは愛の力かホルモンの力か、背筋をしゃきっと伸ばして騎士式敬礼のポーズを取った。試練つったか今。ハルヒの与える試練がどういうもんか、十年間耐えてきた俺ですら逃げ出したくなるほどだぞ。


 ハイネス・弟くんは腕まくりをして古泉の横に立ち、

「ということは、私は彼と同じ格好をすればいいのですね?」

自ら苦渋の選択をしている。

「さっすがスコッチ、伊達だてにウィスキー作ってないわ。ハンデ付けてあげようと思ってたのに自ら辞退するとはねえ」

弟くんは眉毛を上げて、エッそうだったの? という顔をしている。従者に手伝ってもらって胸をおおうプレートと鎖帷子くさりかたびらを着込んだ。なかなかの勇姿じゃないか。真夏の気温の中で着ている本人はたぶんサウナ状態に違いない。

「有希、三十秒計ってくれる?」

「……了解した。カウント開始する。双方とも用意Ready?はじめGo

種子島宇宙センターの読み上げアナウンス嬢並みの正確さで三十を逆カウントで数え始める長門である。ベンチの上に両足で立つ、右足から降りて地上に立ち、足をそろえる。また右足からベンチの上に立つ。この永遠に繰り返される不毛とも言えるループを二人の騎士が長剣をかかげ持ったまま上下運動をしている。ザッザッと豪快な音を立てて分厚い鎖帷子くさりかたびらが上に下にたわみ、それにあわせて周りの皆は手拍子を打っている。ところで古泉は試験官のはずなのになんで一緒に計ってんだ?

 三十秒経ったらおきの人がそれぞれ三十秒間だけ脈拍数みゃくはくすうを取り、次の三十秒間はまた昇降運動をはじめる。これを三回繰り返して脈拍数みゃくはくすうの合計値を取る。

「よーし、そこまで」

「ど……どうでしょうか」

三分間の足踏み行軍をさせられた弟くんは肩で息をして声も出ないという感じである。

「あー、しい」

脈拍数みゃくはくすうしいはないだろ。

「おい、なんで古泉まで計ってんだ。婿候補むここうほは辞退したんじゃなかったのか」

「バカね、古泉くんの体力にかなわないようじゃとても無理ってことよ」

古泉の方はというと、ガパとカブトの面を上げると平然とした面持おももちで、

「え、僕が選考基準だったんですか。だったらもっとがんばらないと」

なんかライバル意識を出し始めたぞこいつ。謎の諜報機関で養成を受けてる未来少年エスパー戦隊と十二世紀の王族のすえっ子じゃ差がありすぎんだろ。それより婿むことしての能力と脈拍数みゃくはくすうがどう関係があるのか誰か突っ込めよ。

「はい次の種目、二十二ヤードシャトルラン」

シャトルランは素人には複雑すぎて分からんだろ、っていうか音源がねーだろ、ってなんで競技大会になってんだよ。見たか、修道士のトリプルツッコミ。

 お察しの通り、俺がリュートでポロンポロンとげんをかき鳴らすタイミングに合わせての往復運動になった。ウェイト二十キロ装備踏み台昇降ですでに足に来ていた弟ちゃんは、同じ装備のまま二十五往復したあたりで足が地面からふわりと離れ、そこでぶっ倒れての健闘リタイヤである。

「だらしないわねー。そんなんじゃ奥さんと城を守っていけないわよ」

「ま、まだまだ……もう一度やらせてくださ、ゴフッ」

「おーいハルヒ、ベンチの上下運動と二十メートルの往復運動にどんな意味があるんだ」

「意味なんてないわよ。体力を使い果たした上でもまだ妹ちゃんに尽くす余力があるかどうか見てるだけよ」

鬼だ。お前の前世ぜってー鬼だろ。きっと来世もだ。

「そうですよね。戦場から帰ってきて疲れていても、ちゃんと愛情を注いでほしいものよね」

さっきから一部始終を見ていた朝比奈さん、あなたもサドの気があります。長門、そこでひそかにウンウンとうなずかないでくれ。俺と古泉、伯爵は次は我が身かと不安な表情を浮かべ、テンカウントを聞いて気を失った弟くんの身柄を引き取って客室にかつぎ込んだ。ボロボロになって運ばれていく弟くんの様子を、妹ちゃんは目ン玉キラキラでながめている。恋する乙女は無垢むくで、恋する少年はあわれなものよ。


 武士の情けよ、とハルヒがパクリのスコッチウィスキーを飲ませてやると弟くんは正気に戻り、毛細血管が急に開いたらしく、流れ出す鼻血を止めるために絹のハンカチをいて栓をしてから復活した。

 大広間の上座かみざに長テーブルをドンと置き、そこに女三人が座っている。三メートルほど離れ、部屋の真ん中にぽつりと置かれた椅子に弟くんが小さくなって座っている。俺達オブザーバは授業参観の保護者のように部屋の片隅で並んで様子を見ている。ハルヒが木槌きづちでテーブルをドンと叩き、

「あー、静粛せいしゅくに。これより面談を行うわ。審問官しんもんかんはあたし、レディ・ミクル、ミス・ユキリナの三人である。議事録はそこの修道士。ここで質問される内容は夫としての資質ししつを問いただすためのものであり、記録された個人情報は一切外部にらされないことを保証するわ。今ならまだ辞退できるわよ」

「受けて立ちます、レディ・スズミヤ」

胸をドンと叩いてケホケホ言っているが、弟くん大丈夫か。

「いい返事だわ。あたしは貴族Ladyじゃないけどね」

今のは弟ちゃんのお世辞せじだ。少し手加減してやれ。

「まず恋愛経験について聞くわ。第一問」ジャジャン、とクイズ番組のサウンドエフェクトが鳴ったような気がしたが気のせいか。

殿下Your Highness、あなたは八歳のとき、メイドさんに初めての恋をしましたね」

「な、なぜそれを!?」

おおげさに驚いてみせる弟くんだが、なーんだそんな質問かと鼻に栓をしたまま余裕で笑っている。

「メイドさんはあなたの領地の農奴のうど出身ですね」

「そのとおりです」

「では、そのメイドさんの父親の名前を述べなさい」

「エッ」

親の名前か……、うーんと頭をひねっている。初恋の人の親の名前までチェックしてたらそいつはストーカーだろう。

「二十秒以内に答えなさい。ちっちっちっちっ」口で秒針をカウントするの聞くとイライラするんだけど。

「思い出しました。確かスティーブ、では?」

「ブー、残念。正解は、あのメイドさんには父親がいません」

ひっかけかよ。

「そうだったんですか」

「母親が奉公ほうこうに出ていたとき、勤め先の領主の息子といい仲になり、出来た子供があのメイドさんでした。妊娠にんしんしたと分かると母親は勤め先を追い出された。やがて娘は大きくなりあなたの城で雇われるようになった。あなたはその事情を父親から聞いて知っていた。同情する気持ちからあのメイドさんのことが好きになったのでは?」

「そ、そうだったかもしれません。でも誰にも言ったことはありません」

「だがあなたは彼女の誕生日には必ずバラの花を贈っていた。これは認めますか?」

「み、認めます。ですが、あのメイドはもううちにはいません」

ハルヒは腕を組み、考え深かげに目を閉じるような仕草をして、

「そうでしょう。あなたの父親はあなたが恋心をいだいていることを察し、彼女にお金を渡して実家に帰したのです」

「し、知りませんでした。嘘じゃありません、本当です」

ハルヒは立ち上がってテーブルの前を端から端まで、腕組みをしたまま行ったり来たり歩いている。おいなんか逆転裁判じみてきたぞ。

「ええ。あなたは高貴こうきなるご身分のお方。父親が先に手を打ったのだとしても不思議ではありません」

「私からひとついいかしら」

「みくる審問官しんもんかんどうぞ」

「殿下、高貴なご身分と愛を天秤てんびんにかけるとしたら、どちらを取られますか?」

「と、申されますと?」

「恋のために今の裕福ゆうふくな生活を失うとしたら、どうしますか?」

「うーん……」

弟くんは考え込んでいる。

「まあ相手にもよるかもねぇ」ハルヒがニヤニヤと茶々を入れているが、真剣に考えてるんだからちょっと黙ってなさいね。

 弟くんは部屋の隅にいる伯爵となにやら視線を交わしている。こういうのは貴族同士じゃないと分からないことらしい。

「マイレディ、その問いは貴族の男子の間では永遠のテーマなのです。もし下々しもじもの女を好きになったら、あ失礼、庶民の女性に恋をしたらいかに処すべきか。その答えは、恋のほうをあきらめることになるでしょう」

「あらまあ、どうしてなの!?」

朝比奈さんがピクと反応している。なにがあっても愛を勝ち取れと言いたいのだろうな。

「残念ながら、領地と身分を捨てて恋に走るわけにはまいりません」

「じゃあ捨てられた女性の方はどうなるのかしら!」

鼻息が荒い朝比奈さん、ちょっと、落ち着いてください。

「自分が治めている土地が他人のものになった場合、外交の取引に使われ、どんな領主の手に渡るか見当もつきません。自分の領民は自分こそが守れるのだと自負じふしています。私が領地と爵位を捨てることで領主が変わり、圧政が敷かれ重税でも課されるようになれば、皆やせおとろえてしまいます。たくさんの娘が不幸に見舞われてしまい、とてもそんな未来は選択できません」

未来、という言葉に朝比奈さんの髪の毛が数本ピクピクと反応した。さすがだ、という感じに伯爵は腕組みをしたままうんうんとうなずいている。そう考えると、庶民と結婚したとはいえ貴族としての体面は保たれた伯爵はラッキーだったのだなあ。

 だがハルヒの鼻息は馬並みに荒く、

「愛より領地の方を取るだなんてアンタ、それでも男なの!?」

いやたぶん、この場にいる男どもはみんな同意していると思うぞ。

「議事録係は黙ってなさい。いいでしょう、この件はここまでにしておいて次の質問、」

「……待った」長門が右手を上げた。

「有希審問官、なにか聞きたいことあるの?」

「……殿下、あなたはメイド嬢の下着を自室のトランクの中に隠し持っている。これについての釈明しゃくめいを」

下着ドロか! 下着フェチだったのかこの貴族のあんちゃん。これは有罪だぞ。

「な、なんだってー(AA略)。有希それほんとなの?」

ここで弟くんは真っ青になり、心なしかひざが震えている。

「なぜそこまで……。本当です」

「なーんだ。殿下、あんた忘れられない人いるんじゃん。そんなんじゃ妹ちゃんの旦那になんてなれないわよ。ちゃんと別れを告げるなり、告白するなりケリをつけてからにしなさいね」

弟くんがうなだれている。異端審問いたんしんもんで有罪判決を受けた教徒みたいだな。

「はい……。実は私は、あの娘のことを忘れるために応募したのです。いつまでも過去にしがみついていては男として、騎士として成長できない、そんな思いでここに参ったのです」

「あんた、目的はいいんだけど方法が違うんじゃない。そういうことは直接本人に言って終わらせないとだめよ」

なにか吹っ切れたように顔を上げ、ハイネス弟くんはスクと椅子から立ち上がり、

わたくし、騎士としての修行がまだまだ足りないと実感いたしました。お嬢さんの夫となるには相応ふさわしくないことを認め、ここに辞退いたします」


 皆に向かって深々と頭を下げ、日が暮れないうちに帰ると言い張るのを、伯爵がまあまあいいじゃないかとなだめて、その日は皆で晩飯を食った。その後ミニダンス会みたいなことをもよおして、ハイネス弟ちゃんと妹男爵は一度だけペアダンスを踊った。お似合いなのにもったいない。紳士のお手本みたいな人で、誠実そうだし、後ろ髪引かれる存在が一人くらいいてもいいんじゃないかと思うんだが、ハルヒを含む異端審問官いたんしんもんかんのダメ出しは厳しく今回は失格ということになりそうだ。


 夜も明けきらないうちに暇乞いとまごいの挨拶あいさつを述べ、弟くんはなにか吹っ切れたような晴れやかな表情で去っていった。まだまだこれからだってのにぃ、と、まだいじめる、いや試練を課す気マンマンだったらしいハルヒと朝比奈さんは名残惜なごりおしそうに見送った。スコットランドに長寿と反映を。

「残念ねー、少年並みに純粋でしかも童貞で、育ちはいいのに。あこがれの人がいるんじゃ結婚しても長くは持たないわ」

なんで童貞とか知ってんだお前。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る