涼宮ハルヒの懺悔

涼宮ハルヒの懺悔ざんげ

The Confession of Haruhi of Suzumiya


ここは、どこ。


なんにもない、なんにもない。まったくなんにもない。右も左も、前も後ろも。壁も天井もない。上には灰色の空が広がっていて、足元には売れないアーティストのステージみたいな白いもやが流れてるけど、なんなのこれ。寒くはないけど。


ねーえ、誰かいんのー?


なにも聞こえない。こだまもない。


誰か聞こえたら返事してー


夢かしらね。アイタタタ。なんかギリシャ神話みたいな白い服着せられてるけど、こういう微妙にエロいのはみくるちゃんに着せればいいのに。


そういえば誰かと決闘してた気がするんだけど。あたしったら負けて死んじゃったのかしらね。


「そのとおりだ。お前は一度死んだ」


え……エエッあんた朝倉? って十年ぶりじゃないの、なんでこんなとこにいんの?


「わたしは朝倉涼子ではない。お前の記憶が相対的にそう見せているに過ぎない」


違うの?この眉毛はどう見ても本物、


「イタタタ眉毛を抜くな無礼者ぉぉ! 天罰!」


ウグググ……ちょっとあんた痛いじゃないの! 感電死したらどうすんのよ!


「お前はすでに死んでいる」


あべし……


「古いネタを知っているな。しかも二番煎じか無礼者」


それを言うならこの話自体が二番煎じのコンコンチキでしょうが


「まあ、それもそうだな。ともかくお前は死んだのだ無礼者」


そう無礼無礼って連呼しないでよ、人違いなんだから


「人違いでも眉毛を抜くなど言語道断ごんごどうだん。ううっこれも二番煎じか」


長い黒髪に赤い髪留めが朝倉じゃないとしたら、あんたいったい誰なのよ。神様?


「お前がそう思うならそう呼べばよかろう」


じゃあ神ちゃん、ここはどこなのよ


「お前の理解のおよばぬ世界だ。ちゃんってお前ね……」


つまりは天国なのかしらカーミィ


「天国など人間の作り出した妄想に過ぎん。お前が人をあやめようとしたので連れ出したのだ」


ああそうそう、決闘はどうなったのよ


「相手はルールに反する武器を隠し持っていた。お前は自らの能力を使って殺傷しようとした。よって両成敗である」


なーんだつまんないの。いいオッズだったのに


「まったくだ、いいもうけ話が……じゃない、ネタでも人を殺めるなど許さんぞ」


みんなはどうしてんの?


「お前の残りかすをかき集めて蘇生しようとしておる。団員そのいちはドーバー海峡にいて永遠の別れとしたいようだが、まあ今回は地上に返してやる。しばらくはおとなしくな」


あのエセ修道士、帰ったら小豚のエサにしてや……キャーナニコレナニコレ!!

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